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著:福山可奈子
COVID-19が最初に南カリフォルニアで感染拡大した時、癒しケアチームは、緩和ケアの提供方法を変更しました。 多くの患者、その介護者、および家族は、バーチャルで癒しケアのスタッフと会話する方法に移行しました。 これまでのところ、リモート環境は助かってる場合もあれば同時に挑戦でもあります。
しかしながら、この新しい変化の中にも、緩和ケアの役割は今までと変わらず人々の肉体的、そして精神的な痛みを和らげる手助けをすることだと私は思っています。 癒しケアチームにおいて、ソーシャルワーカーとしての私の役割は、精神的な痛みを和らげる手助け、そして家族と患者が必要としているそのほか様々な事柄を支援することです。
チームのソーシャルワーカーとして、ウイルスの発生によって引き起こされたこの新しい対応の変化は、癒しケアを利用する高齢者の方のにどのようなケアが出来るのかという複雑に絡み合った問題の解決策の一つにすぎないと思っています。
以下が、ソーシャルワーカーとしての私の典型的な一日です。
午前8時
私の朝は、ボイスメッセージを確認し、前夜にコールセンターに電話された患者の夜間のレポートを読み込むことから始まります。
午前8時30分
チームの定例打ちあわせが始まります。 これは現在、医師、看護師、その他のソーシャルワーカー、プログラムマネージャーを含むスタッフたちとのバーチャル会議となっています。 一日を始める会議ですが、時には非常に激しい議論をする場合もあります。
私たちは毎朝4人から8人の患者の状況について話し合い、何が起こっているのか、また、ケアプランに沿ってケアを提供し続けるにはどのような変更を行う必要があるのかについて話し合います。
午前9時30分〜午後5時
打ち合わせ後は自分のスケジュールを確認し、その日に行うフォローアップの電話をかけます。通常、私は毎週20回程度のフォローアップの電話をします。定期的な状況確認が目的の電話から新しい患者との会話まで、内容はさまざまです。
ある日に対応した内容について書きます。
午前9時30分〜 10時
ある患者のお嬢さんに電話をしました。彼女は、親御さんの世話をするのに苦労していました。彼女の状況を元に、私は介護士を雇うことを提案しました。電話の最後に、文化に配慮できる介護の会社のリストを、彼女に渡しました。
午前11時〜11時30分
COVID-19で孤独を感じていた別の患者に電話しました。この患者はアシステッド・リビング施設で暮らしていますが、最近、子供も孫も訪問していないこともあり、厳しい状況の中どのような様子か知るために、彼に電話をしました。
午後1時〜1時30分
孤立の危険性がある他の患者に電話をしました。 COVID-19の感染拡大を機に、この患者には以前より頻繁に連絡を入れています。彼女は一人暮らしで、地元のコミュニティセンターが現在閉鎖されているため、外出していません。電話を通して、私は彼女のストレス状況を判断し、孤立によって引き起こされる可能性のあるうつ病の兆候を確認するべく、注意深く見守っています。
午後2時〜2時30分
重度の認知症を患う患者の介護をしている配偶者に電話しました。介護者への支援として、定期的に電話を行っています。夫の睡眠パターン、食欲、気分の変化についての報告を受けたので、私はそれを癒しケアの看護師と医師に報告しました。そして、衰えを評価するために医師の訪問を調整することができました。
午後2時30分〜3時15分
最近、癒しケアに登録した患者の夫に電話しました。妻の状態が悪化し、在宅ケアが難しくなった場合、将来、利用できるさまざまなレベルのケアについて話しました。すぐにサービスを必要とする状況ではありませんが、必要になった際の選択肢が知れたことにほっとしていました。
午後3時30分〜4時
プログラムの照会を担当しました。ある家族に連絡し、彼らの状況に耳を傾け、彼らが登録するべきかどうかを判断しました。さらに、医師の照会をもらうなどの次のステップについても説明しました。
午後4時15分〜4時45分
慢性的な痛みと向き合っている患者に電話しました。精神面で支援するために定期的に電話しています。会話の中で、患者が数日間排便がなかったと話していたので、癒しケアの看護師に連絡し、その後、看護師が患者に電話をかけて便秘の対処方法について教えました。
各通話において、私は会話を記録します。また、この時間を使って、癒しケアプログラムへの新しい登録依頼等の管理もしています。癒しケアを利用したいと思っている患者またはその家族との最初の電話を多くの場合担当しています。そして、プログラムに登録するために、必要なものがすべて揃っているかの確認もします。
午後5時
各電話をかけ、他の癒しケアチームメンバーが確認できるように内容を文書化した後、私の業務は終了します。この後、私宛にかけられた電話は私たちのコールセンターによって受け取られます。その後、別のスタッフがメッセージを受け取り、翌朝私が確認します。
仕事の後は
アフターアワーはセルフケアが重要な時間となります。運動、瞑想、趣味等が仕事と私生活を分けるのに役立ちます。当初、私はいつも緊張して疲れていました。時間はかかりましたが、患者さんがとても苦しんでいるのを見ていたからだと気付きました。私の仕事で難しいと感じるのは、患者さんの痛みを、思いやりを持ちながら、どのようにして取り除くか、その重みを自分もどうやって解消するのかその方法を知らなかったからです。しばらくして、自分のケアも怠らず、バランスを取り、もっとオープンマインドになり、流れに身を任せる思考を身につけようと努力しうまく向き合えるようになりました。
癒しケアチームのソーシャルワーカーとしての私の仕事
癒しケアチームの打ち合わせで、各チームメンバーは、それぞれの専門知識の視点から各患者のケアプランを見ています。医療面からみる専門のチームメンバーは、患者の身体的ニーズを見ています。一方で、私はソーシャルワーカーとして、精神面での支援やそのほか医療スタッフが見ないかもしれない他のニーズの視点から見ています。
たとえば、癌による痛みの症状について対応する時、医療専門のチームメンバは処方箋や治療法を検討し推奨します。私は緩和ケアのソーシャルワーカーとして、人間関係から仕事、メンタルヘルスに至るまで、病気が生活の他の側面に及ぼす影響を見ます。
解決策は毎回一つではありません。ケアを考えるとき、各患者にそれぞれにあったケアを作成、勧めます。 COVID-19の前は、1日に1つか2つの対面でのアポイントメントの予定を立てていました。現在、フォローアップの予定はZoomまたはFaceTimeで行われ、各通話には30分から1時間かかります。私が直接行かなければならない特別なケースは限られており、会う場合は安全に行われます。
患者、その家族、または介護者と話す時は、健康上の懸念についてどのように感じ、その懸念が他の生活分野にどのように影響するかについて、彼らが感じている課題や話に耳を傾けます。これは、完全に状況を把握し、何に苦労しているのかに耳を傾け、真のニーズが何であるかを確認するのに役立ちます。
また、一部の患者にとっては、ただ彼らの話をその場で聞くこと自体が助けとなることもあります。時には、患者、介護者、または家族は、ただ確認が必要だったり、または、自分たちが最善を尽くしている、または最善を尽くそうとしていると誰かに認識してもらいたいこともあります。ソーシャルワーカーとして、私も彼らにとって有効な、又有効かもしれない情報やサービスの情報を特定し、利用可能なものに繋げたりもします。内容は、介護者、弁護士、移動手段、あるいはは食事の援助を見つける方法にまで及びます。
結論として、私の役割とゴールは、彼らが必要なリソースの提供等、患者とその家族に安心感を与えることだと思っています。
癒しケアについての詳細はこちらから:https://www.keiro.org/jp/iyashi-care
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