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米国内では65歳以上の高齢者の4分の1以上が一人で暮らしています。そして、その割合は年齢が上がるとともに増加します。家族が近所に住んでいる人もいるかもしれませんが、多くの方の場合そういった人はおらず、自宅で自立して生活を続けていくには、近所の友人や近隣の人たちに身の回りの世話を頼らざるを得ないのが現状です。世話の内容は、近所づきあいや食料品の買い出しのお手伝い、医者へ連れて行くことなどが含まれます。
この記事では実際にコミュニティの中で家族以外の知り合いに頼って生活をしている二組の方のお話しを紹介します。
第一話:ブライアンとドゥワイトさんのケース
ブライアンさんは奥さんに先立たれた、一人暮らしの70代です。近所に家族はいません。誰にも縛られることなく独立した生活をすることが好きな彼は、自分のことを「気難しい年寄り」と呼びます。周囲の友人たちにも始終「自分は一人暮らしで大丈夫」、と言っていました。
しかし、ブライアンさんの健康状態は加齢とともに衰え、一人で安全に暮らせなくなりました。この事実を受け入れ、ブライアンさんは、高齢者向けコミュニティ住宅に移住することに決めました。
始めのころは一人ですべてできていましたが、ブライアンさんは次第に、月々の家賃の支払いを忘れるようになりました。彼の物忘れの多さ、体の衰えなどを察した最も近しい友人のドゥワイトさんは、彼の手伝いをしようかと申し出ました。当初、ブライアンさんはこのドゥワイトさんの申し出を断りました。時間がかかりましたが、ドゥワイトさんの説得の甲斐もあり、ブライアンさんは手助けが必要なことを認め、助けてもらうことを受け入れました。
当初、ドゥワイトさんは、ブライアンさんの代理人として金銭管理をする法的権利がなかったため、ブライアンさんが月々の支払を忘れることがないよう確認するなど、可能な範囲で手伝っていました。しばらくすると、ブライアンさんの健康状態がさらに悪化し、サインをしたり小切手を書いたりすることができなくなってしまい、再び、月々の支払も滞るようになってしまいました。友人を助けたい一心でドゥワイトさんは自身の貯金からブライアンさんの生活費を払うようになってしまいました。
友人の行動に気付いたブライアンさんは、財務管理専門の弁護士に依頼し、ドゥワイトさんに法的委任権を与える書類の準備を進めることにしました。それにより、ドゥワイトさんは、ブライアンさんの財産管理、支払いの代行を法律上正式に委任されることになりました。ブライアンさんはまだ意識がはっきりしていて、判断力がある時に、この決断をすることができました。
その後、ブライアンさんの認知機能がさらに低下しはじめました。時には、ドゥワイトさんが自分のお金を盗んだと妄想することもありました。しかしながら、正式な代理人として、ドゥワイトさんは、ブライアンさんに代行して支払いなどの財務処理を行い、その都度書面で支払いの詳細を残していました。しっかり書面で支払いの詳細を残すことで、ドゥワイトさんが、財産乱用しているという誤った疑いをもたれることも防ぐことができました。
このお話では、周りに助けを求める大切さ、そして財務面、法的な書類もしっかり準備する必要性がいかに大切かを物語っています。幸運にもブライアンさんには、一度断られたにも関わらず、あきらめずに手を差し伸べ、準備を整えてくれる友人がいました。残念ながら、現実にはこのように事がすべて順調に進む話ばかりではありません。
登場人物の名前は、プライバシー保護のため、変更されています。
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並びにStaci Tojiさん、記事編集へのご協力・ご指導ありがとうございました