
個人用緊急応答システム
高齢になるにつれて転倒の危険性が高くなります。調査結果によれば、65歳以上の高齢者の30%が毎年転倒しており、それが80歳以上となると、なんと50%が転倒しているという結果がでています (1)。また、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、多発性硬化症、筋ジストロフィー、 筋萎縮性側索硬化症(筋肉の衰弱させる神経性疾患)あるいは、 糖尿病などにより、転倒の危険性はより高くなります(1)。なぜ転倒がそんなに危険視されるかというと、転んでしまって、自力で立ち上がれないのに助けになる人が側にいない場合がありうるからです。動けないでいる時間が長ければ、それだけ体にかかる負担が多くなり、回復にかかる時間も長くなりかねません。幸い怪我を伴わなかったとしても、転倒の90%のケースが、心身の健康に悪影響を及ぼします。転倒防止用の手すりを取り付けたり、専用の看護人を雇うこともできますが、それでもすべての危険性をカバーすることはできません。ここでご紹介する個人用緊急応答システム(Personal Emergency Response SystemまたはPERS) をお使いになれば、万が一転倒した場合や、急な発病、家に他人が押し入った場合、火事が起こった場合などにいつでも助けを求める警告を発信することができます。
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個人用緊急応答システム(PERS)とは?
緊急時にボタンひとつで助けを呼ぶことができるシステムです。PERS(1)小型の無線送信機(身に着けておく)、(2)電話に接続する本体・コンソール、(3)そして緊急時の連絡に対応する緊急応答センターの3つの要素があります。
PERSはどのようにし作動するのか?
小型の無線送信機をネックレスやブレスレットのように装着するか、ポケットに入れて持ち運びます。もし、転倒した場合、その送信機のボタンを押すことによって、ご自宅の電話に接続されている本体・コンソールが作動し、緊急応答センターと、あらかじめプログラムされている緊急連絡先に通報します。緊急応答センターのスタッフは、連絡した本人とコンソールを通じて直接会話をし、状況を判断し、緊急連絡先と、場合によっては救急隊員に連絡します。
費用はどれくらいですか?
器具は購入することも、短期あるいは長期の借り出しもできます。価格は約$200から$1,500以上のものまで様々です。コンソールやサービスの価格は一概には言えませんが、もしシステム全部を専門家に設置してもらうとすると、当然その費用も加算されます。そのほかに、月々$10から$50のモニター料金がかかります。サービスによっては中途キャンセルの場合の罰金を課すところもありますので、契約書にサインをする時には注意しましょう。
自分で取り付けが可能?それとも専門の人に頼むべき?
多くのシステムは簡単に設置できるようにデザインされていますが、末端機はサービスによって特徴が違います。購入を決定する前にはよく比較調査をすることをお勧めします。
PERSの費用はメディケア、メディ-カル、または保険で保障されますか?
通常は保障されませんが、メディケアのパートBに加入しており、医師によって、医療用警報機器が必要だと診断された場合は、PERSにかかる費用が補償される可能性があります。また、保険によっては、最初に自己負担で費用を支払った後、払い戻しをしてくれるプランもあります。
PERSが必要かどうか、どのように判断したらよいでしょうか?
次の質問にできる限り正直にお答えください。答えに「はい」が一つあるからと言ってすぐにPERSが必要という訳ではありません。むしろ今の状況においてPERSが必要かどうかを、家族や主治医などと話し合うきっかけをつくる良い機会だと考えてください。
- 家に居ることが多いですか?
- 外出中に、ネックレスやブレスレットのような無線送信機が必要ですか?
- 掛かりつけの病院がありますか?
- 緊急の場合の連絡先(人)は誰?ですか?
- 費用を保証する可能性のあるメディケイド(カリフォルニアではメディ-カル)加入していますか?
- 主言語として英語を使っていますか?
- 誰かに教えてもらわないと、薬を飲むことを忘れてしまうことがありますか?
- 現在、定期的に様子を伺ってくれる人がいますか?
- 転ぶことが心配、または過去に転倒を経験していますか?
PERSシステムを通してどんな情報が応答センターに提供されるの?
システムをセットアップする時に当人の情報がインプットされます。緊急時の連絡先(複数)はもちろんですが、当人の健康状態、アレルギー、処方薬、医師の連絡先、その他の重要な情報もすべて記録されます。もし連絡先のすべてが不在であれば、その地区の救急隊員が派遣されます。緊急連絡先のリストには次のような情報が含まれます。
名前:
関係:
鍵を持っているか: Yes or No
自宅の電話番号:
仕事先の電話番号:
携帯番号:
ページャー番号:
「緊急応答センター」には誰がいて、自宅からどのくらい離れた場所にあるのですか?
緊急応答センターには、サービス提供者ベースとシステム製造者ベースの二つのタイプがあります。サービス提供者ベースのセンターは通常使用者のエリアの近くにあり、病院や公共の医療関係事務所などに入っています。システム製造者ベースのセンターは通常一ヶ所から全国をカバーします。ほとんどが、年中無休の24時間体制で休みなく稼動していますが、購入を決定する前には必ずセンターの詳細を調べ、センターの営業時間にとぎれが無いことをチェックしてください。
家に来てくれる救急隊員の人はどうやって家の中に入ってくるのですか?
緊急応答センターは緊急連絡先リストにある連絡先(家族、看護人、友人、隣人等、患者の家の鍵を所持している人)に連絡し、家の前で救急隊員と会うように伝えます。もしも、事態が緊急で、連絡先が鍵を持ってくるまで待てない場合は、ドアや窓を壊して家の中に入ってくる場合もあり得ます。
緊急時に、私のいる場所がPERSのコンソールがある場所と違う場合、どうやって会話ができますか?
ほとんどのコンソールはかなり高性能で、コンソールから離れた部屋で何かが起こった場合にも緊急王と追うセンターとの会話が可能です。しかし、もしも会話が不可能な場合、緊急救助隊員が早急に派遣されます。
家の外にいても機能しますか?
多くのシステムは200から400フィートのエリアをカバーします。しかし、家の外からは緊急応答センターとの会話が不可能なので、その場合は、救急隊員を派遣するよう連絡します。購入を決定する前にシステムが機能する範囲をチェックしましょう。
停電になったらどうなるの?
停電に備えて、多くの緊急応答システムが数時間持続する発電機を持っています。電力が回復すると共に、発電機は再蓄電を開始し、次の停電時に備えます。
その他にもどのような機能がありますか?
システムによりますが、多くは薬を飲む時間や医師との予約時間等を教えてくれる機能を持っています。補聴器をつけながら使用できるヘッドセットや、電話がかかってくると点滅する数字盤、大きく見やすい数字盤、受話器を手に取る必要がない電話機などを提供するサービスもあります。
PERSに、将来どのような進歩が期待できますか?
現在このようなシステムを提供している会社は、次のステップとして転倒を自動的に察知する機器を開発しています。これは胴体部に装着するもので、体の動きが加速されると、それを転倒のサインと判断し、自動的に助けを呼ぶという仕組みです。超小型のドアセンサーやモーションセンサー、ドア・窓のセンサーを使って、個人の行動を常時モニターできる無線のセキュリティーセンサー近い将来可能になるでしょう。すべてのセンサーは個人情報の機密を守る安全完備の双方向ページモデムを使って行われます。このシステムでは、その個人の関係者だけが使えるパスワードで制御されたウェブサイトを利用しており、そこで患者の様態を常時知ることができます。ここで開発されているドアセンサーは、アルツハイマー症の患者の俳諧防止にも効果的です。また、台所のセンサーはちゃんと食事をしているか、栄養になる食物を摂取しているかなどをチェックすることにも役立つものです。
もっと詳しいPERSの情報はどこで入手できますか?
Federal Trade Commission
(877) 382-4357
Better Business Bureau
(888) 983-3122
Caring.com
(866) 824-8174
References:
(1) Caregiver.com
http://www.caregiver.com/channels/tech/articles/pers.htm
(2) Caregiver.com
http://www.caregiver.com/channels/tech/articles/PERS_resources.htm
(3) Federal Trade Commission
http://www.consumer.ftc.gov/articles/0316-personal-emergency-response-systems-health-information-older-people
(4) Caregiver.com
http://www.caregiver.com/channels/tech/articles/PERS_faqs.htm
(5) Caregiver.com
http://www.caregiver.com/channels/tech/articles/options_in_PERS.htm