社会的繋がりを維持することは心身の健康を保つのに役立ちます。ソーシャルメディア(SNS)を利用すると、COVID-19の間でも安全に周りやコミュニティと繋がることができるほか、今まで関心を持っていたことや新たな趣味を探求することもできます。
ソーシャルメディアを使用する利点
高齢者がSNSを使うあまり知られていない利点として、脳の健康を高める可能性があることがあげられます。シカゴのイリノイ大学が実施した調査で、テクノロジーの使い方を学んだ高齢者に、さまざまな認知機能の改善が見られたことが明らかになりました (Quinn, 2018)。この調査では、SNSの使い方を学ぶことでテクノロジーに触れる機会ができ、継続的な学習の機会と脳への刺激を得ることができた、と結論付けられました。
SNSの多くは若い世代向けととらえられがちですが、幅広い年代が家族と連絡を取りあったり、イベントや興味のある団体の最新情報を入手したり、昔の知人と旧交を温めるために利用しています。様々な種類がありますので、用途にあったプラットフォームを選ぶとよいでしょう。
ソーシャルメディアの概要
ソーシャルメディアは「ユーザーがオンラインコミュニティーを作り、情報、アイディア、ダイレクトメッセージ、その他の内容(動画など)を共有する電子コミュニケーションの形態」と定義されています (Merriam Webster, n.d.)。このページで取り上げる4つのプラットフォームを含め、ほとんどの主流プラットフォームは無料で使用できます。以下に現在最も使われているプラットフォームをまとめました。
Facebook (フェイスブック)
フェイスブックはSNSの黎明期に登場した主流のプラットフォームの1つで、現在も一番の人気を保っています。フェイスブックでは、他の人とつながるために幅広い機能を利用することができます。利用者は、文章、写真、動画などを「post(投稿)」し、それを他の人が閲覧したり、やり取りをすることができます。最も一般的なのは、フェイスブックでつながった友達に自分の投稿を共有し、また友達の投稿に対して「Like(いいね!)」をつけたりコメントをすることです。その他にも、ダイレクトメッセージを送り合ったり、共通の趣味を持った人々のグループに参加したり、教会、コミュニティセンター、地元のレストランからの最新情報を入手したりすることもできます。
メリット
- フェイスブックでは、投稿、グループへの参加、自分自身のプロフィールのカスタマイズなど、様々なことをすることができます。既にある様々な機能から利用したいものを選ぶことができますが、同時に機能が豊富で、常に新しいものが提供されるため、新しいことを学ぶ機会もたくさんあります。
- 文章、写真、ウェブサイト、動画など、投稿する内容の選択を自由に行うことができます。ツイッターやインスタグラムと違い、投稿に文字数などの制限がありません。
- フェイスブックはあらゆる世代に人気のSNSプラットフォームですが、特に高い年齢層に人気があります。そのため友人や、親戚、家族で既にフェイスブックを利用している人をたくさん見つけることができる可能性があります。2019年にPew Researchによって実施された調査では、50歳~64歳の人々の68%、65歳以上では46%の人々がフェイスブックを利用しています(Perrin & Anderson, 2019)。数人の友人をフェイスブック友達として承認すると、さらに共通の友人を見つけ出せる可能性が高くなります。
デメリット
- フェイスブックは詐欺師やハッカーの標的になることがよくあります。詐欺師やハッカーはアカウントにログインしようとしたり、別人になりすましてお金をだまし取ろうとしたり、個人情報を奪おうとしたりします。
- フェイスブックは、広告が頻繫に表示されるので、利用者にとって煩わしく感じる場合もあります。これらの広告の中には、信頼できない発信元からのニュースが紛れていることもあります。
- 様々な機能や用途があるため、フェイスブックを利用できるようになるのに少し時間がかかる場合があります。またフェイスブックは他のプラットフォームに比べ、ウェブサイトやアプリの機能を更新することが多く、更新後に機能の一部を学び直さなければならない場合があります。
Pinterest (ピンタレスト)
ピンタレストは画像のコレクションを閲覧して、興味のあることや趣味のアイディアを見つけることができるSNSプラットフォームです。50歳~64歳の高齢者の27%が使用しており、高齢者の間で人気のあるプラットフォームの1つになっています (Perrin & Anderson, 2019)。ピンタレストの画像のほとんどは、より詳しい情報源やショッピングページにつながっており、情報を簡単に共有できる場となっています。様々なテーマを検索し、気に入った画像をご自身の「Pinterest boards(ピンタレストボード)」またはコレクションに「pin(ピン)」したり「bookmark(ブックマーク)」して保存できます。ピンタレストで友人とつながると、他の人がどのような画像をブックマークしているか見ることができます。ピンタレストでよく見かけるテーマは、料理、クラフト、ファッションです。しかし、ピンタレストではあらゆる趣味に関するテーマを探すことができます。例えば、編み物のアイディアを探している場合、ピンタレストで「編み物」を検索すると、編み物に関する画像やボードが表示されます。
メリット
- ピンタレストは画像中心であるため視覚的に魅力的であり、また端末上で文字を読むのが困難な利用者にとっては便利なプラットフォームです。
- ピンタレストは内容が興味や趣味に関する画像に絞られているので、フェイスブックやツイッターといった様々な機能が付いた他のプラットフォームに比べ、使い方を簡単に学ぶことができます。
デメリット
- ピンタレストはユーザーが新しい情報やアイディアを共有したり発見できるように設計されています。ただし、他の人と交流するための直接的なコミュニケーションや個人的投稿をしたりするのには向きません。
- ピンタレストは多くの場合、女性を対象にマーケティングを行うことが多いため、それ以外の性の人々はこのプラットフォームが自分向けのものではないと感じるかもしれません。
Twitter (ツイッター) とInstagram (インスタグラム)
インスタグラムやツイッターも主流のSNSではありますが、現在高齢者の間ではあまり利用されていません (Perrin & Anderson, 2019)。しかし、家族や親しい人との交流に適しており、特に限定的な規模でSNSを利用したい方には向いています。フェイスブックの利用者がお互い「友達になること」を通じてつながるのに対し、インスタグラムやツイッターは、「follow(フォロー)」機能を活用します。誰かをフォローした場合、その相手の投稿があなたのホームページに追加で表示されるようになります(これはフェイスブックのニュースフィードに似ています)。相手があなたをフォローし返した場合にだけ、彼らはあなたの投稿をみることができます。多くの人が友人や家族とフォローし合う以外に、有名人、ニュース媒体や興味のある団体をフォローし、そこからの投稿を閲覧しています。
- インスタグラムは画像ベースのプラットフォームで、利用者は写真と短い説明文を互いに共有し合います。投稿やメッセージを通じて他の人とつながるという意味ではフェイスブックと似ていますが、インスタグラムは写真と動画の共有に限定されています。またインスタグラムにはメッセージオプションもあり、知人に投稿を送信したり、彼らが気に入ると思う投稿の下に彼らのユーザー名をコメントしたり(「tagging(タグ付け)」として知られている)することができます。
- ツイッターは、「tweet(ツイート)」と呼ばれる、フォロワーと共有できる280文字の短い投稿に焦点を当てています。自分のプロフィールに他の人のツイートを再投稿、リツイートすることもできます。利用者は主に他の人がツイートまたはリツイートしたものに反応したり、ときには個人的なコメントを付け加えたりします。多くの人々は、ツイッターを利用して友人や家族に加え、有名人やニュース媒体をフォローしています。ツイッター利用者の71%がニュースを見るためにプラットフォームを利用していると述べています (Aslam, 2020)。ツイッターは、最も注目されている話題が何であるかを毎日追跡しているため、利用者はそうした話題の最新情報を手に入れることができます。
始めるにあたってのアドバイス
- このページに記載されたSNSプラットフォームはすべて、コンピューター、タブレット、携帯電話を通して利用できます。しかしアカウントを作成するときはコンピューターを使用することをお薦めします。
- App Store またはGoogle PlayからこれらのSNSプラットフォームのモバイルアプリをダウンロードすることができます。
- プロフィール写真を載せたり、趣味を共有したり、投稿を書いたりすることで、高齢者はSNS上でよりまわりとつながっている感覚が強くなります。 (Jung & Sundar, 2018)。しかし、プレッシャーを感じてすべてのことを共有・公開する必要はありません。使用したい範囲を自分で決め、また個人のプロフィールに何を記載するかも自由に選択しましょう。
- 機能を理解できないときは、助けを求めましょう。研究によると、SNSの効果的な使い方を教えてもらうことにより、使用したときの満足感が全体的に高まる事がわかっています (Quinn, 2018)。ほとんどのプラットフォームには丁寧な説明が載っている「ヘルプ」セクションがあります。あるいは、インターネットで「フェースブック/ピンタレストで____するには?」という文章を用いて検索すると、十分な回答が得られます。どのような質問でも、おそらく多くの人がすでにネット上で質問しています。
- SNS上のコンテンツすべてが信頼できる情報元から発信されているとは限りません。記事を再投稿する場合は、まず発信元を確認し、信用できないようであれば、その投稿を無視することをお勧めします。
- 対面で会うときと同様、他人に対する言葉には十分気をつけましょう。オンライン上で意見が一致しない場合、画面の向こう側に相手がいることを忘れがちです。また、インターネットに何かを投稿すると、それが何年もオンライン上に残る可能性があることを覚えておくことが大切です。 相手に対する親切心と理解を優先すべきであることを忘れないようにしましょう。
セキュリティに関するアドバイス (AARP, 2019)
高齢者はインタネット詐欺の標的にされることがよくあります。以下の事柄を守ることによって、SNS上の詐欺から身を守ることができます:
パスワード
- アカウント毎に異なるパスワードを使用します。忘れた場合に備えてユーザーネームやパスワードを書き留めておきましょう。書き留めたものは必ず安全で人目に触れない場所に保管するようにします。
- ログイン情報のセキュリティをさらに強化するために、two-factor authentication(二段階認証)を使用することを検討してください。これは、テキストメッセージまたはデバイス上の別のアプリを通して身元を確認する仕組みです。
リンク
大規模な割引や賞品を提示する広告や、友人からの不審なメッセージを含む疑わしいリンクをクリックしてはいけません。Google Safe Browsingのようなウェブサイトチェッカーを利用すると、リスクのあるリンクの場合、警告が表示されます。
安全に共有
大規模な割引や賞品を提示する広告や、友人からの不審なメッセージを含む疑わしいリンクをクリックしてはいけません。Google Safe Browsingのようなウェブサイトチェッカーを利用すると、リスクのあるリンクの場合、警告が表示されます。
プライバシー設定
SNSでは、信頼できる人や情報元とのみ関わるようにします。知らない人から、またはオンラインクイズで個人情報やお金を要求されたら、それらをブロックし、友人や家族に知らせましょう。自分の投稿内容が友人に限定されて共有されるものであっても、内容は慎重に作成しましょう。個人的な連絡先情報は投稿せず、また、空き巣に入られる可能性があるので、旅行中であることを示す投稿もしないようにします。
各プラットフォームのセキュリティ設定
- フェイスブック
- フェイスブックでは、名前とプロフィールは常に一般に公開されています。しかし、それ以外の投稿や情報はフェイスブック友達だけに限定して公開することができます。画面の右上隅のドロップダウンメニューから「Settings(設定)」へ進み、「Privacy(プライバシー)」をクリックし、アカウント情報と今後の投稿をご友人だけが閲覧できるよう選択することができます。
- ピンタレスト
- ピンタレストのアカウントをインターネット検索で発見されないようにするには、「Settings(設定)」へ進み、「Search Privacy(検索プライバシー)」を「yes(はい)」に変えます。また一般の人の目には触れない「secret boards(シークレットボード)」の使用を選択することもできます。
- インスタグラム
- インスタグラムの投稿を知り合いにのみ公開にしたい場合は、プロフィールページの「Edit Your Profile(プロフィールを編集)」を選択して「Posts are Private(投稿を非公開にする)」を「on(オン)」に切り替えます。インスタグラムもツイッターも、投稿を非公開にすると今後あなたのフォロワーになる人は、あなたが承認してはじめてあなたの投稿を見ることができるようになります。
- ツイッター
- ツイッターへの投稿を知り合いにのみ公開にしたい場合は、トップページ右上のドロップダウンメニューから「Settings(設定)」へ進み、「Security and Privacy(セキュリティとプライバシー)」を選択します。「Privacy(プライバシー)」で「Protect my tweets(ツイートを保護)」と書かれたチェックボックスをオンにします。
Keiroチャレンジ
ここで取り上げたSNSプラットフォームの1つを選んでアカウントを作り、しばらく話せていない友人や家族と連絡を取ってみてはいかがでしょうか。フェイスブックでメッセージを送ったり、ピンタレストボードを共有したり、友人の投稿をリツイートする、といったことを試してみましょう。ただし、SNSプラットフォームを利用する際は常にご自身の安全を念頭に置き、プライバシー設定を調整し、クリックするリンクが安全か確認し、誰と何を共有するか慎重に検討するよう心がけましょう。
参考資料
Quinn, K. (2018). Cognitive Effects of Social Media Use: A Case of Older Adults. Social Media + Society, 4(3), 1-7. doi:10.1177/2056305118787203
Perrin, A., & Anderson, M. (2019, April 10). Share of U.S. adults using social media, including Facebook, is mostly unchanged since 2018. Retrieved June 24, 2020, from https://www.pewresearch.org/fact-tank/2019/04/10/share-of-u-s-adults-using-social-media-including-facebook-is-mostly-unchanged-since-2018/
Merriam-Webster. (n.d.). Social media. In Merriam-Webster.com dictionary. Retrieved July 6, 2020, from https://www.merriam-webster.com/dictionary/social%20media