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南カリフォルニアで生活する私たちにとって、運転することは必要不可欠な交通手段です。長い間生活の一部となっているため、できなくなる日が来るとは誰も考えていないのではないでしょうか。しかし、加齢に伴う肉体的・精神的な変化によって、安全運転をすることが次第に難しくなります。また、迷惑をかけたくない・頼りたくないという思いから、家族や友人に運転を頼む事も気が引けてしまうかもしれません。

運転をやめることを、考えるだけでストレスに感じてしまうかもしれませんが、運転しない生活を悲観的に見るのではなく、経済的且つ健康的な代替移動手段を見つけることは、自立した生活を支える道具になるのではないでしょうか。

最初から完全に車を排除する必要はありません。代替交通手段を活用することで、今ある車有りの生活を補うことが可能になります。様々な移動手段を学ぶことは、自由に、自分の思うままに好きな場所へ行く交通手段を増やすことにつながります。

代替交通手段はそれぞれ長所と短所があります。自分のニーズに対してどの手段が一番好ましいのか、色々試してみることをお勧めします。1つもしくは多くの手段を自身の生活に取り入れられるかもしれません。今すぐに全てを変える必要はありません。様々な場面で、少しずつ試してみてはいかがでしょう。例えば、近くのスーパーに歩きます。 買い物が終わったら、重たい荷物を家まで歩いて運ぶより、ウーバー(Uber)やリフト(Lyft)などのライドシェアサービスを使ったり、バスを使ったりして帰ることもできます。

身体の自由が効く元気な間にそれぞれの代替移動手段を学び、慣れ親しんでおくことにより、本当に運転をあきらめなければならない際に、容易に変化に順応することにつながります。早い段階でいくつかの選択肢を学んで試してみることにより、運転が完全に無くなった生活でも、自立し、健康的でいられる自信を持つきっかけになるのではないでしょうか。


徒歩

車で座り続けるより、散歩をしてみてはいかがでしょうか。歩くことは、体重を減らすだけでなく、バランス感覚、筋肉の協調動作、覚醒度などの向上に役立ち、心身の健康に総合的に良い影響をもたらします(Botkin, 2013)。その他にも散歩量を増やすことにより、血糖値の低下、心臓病のリスク軽減、コレステロール値の低下、柔軟性の向上などの効果が期待できると言われています (Nicenet.ca, n.d.)。

散歩は一人、もしくはグループでも一緒にできる運動です。友達や近所の人と散歩グループを作り、運動を楽しくすることもできます。グループリーダーを選び、毎回集合する場所と時間を決めます。あるいは、リーダーを当番性にし、毎回違う散歩コースを歩くこともできます。散歩後に、一緒にスーパーに行ったり、料理をして食べたりすることなどの行事も企画すればより楽しいものになるでしょう。

毎日の歩数を測るために、万歩計やスマートウォッチなどのフィットネス・トラッカーを使ってみましょう。散歩する前に、その日に達成したい目標歩数を立てることが大切です。座りがちな生活を送る北アメリカ人は1日に約3,500歩から5,000歩を歩くといわれていますが、研究によると、1日あたりの歩数を平均約7,000歩から10,000歩まで増やすことが推奨されています。下記の一覧表は1日あたりの歩数に対しての活動量を見る指標です (Nicenet.ca, n.d.)。

1日あたりの歩数が…

  • 1日あたり5,000歩以下 = 座りがちな生活
  • 1日あたり5,000歩 ~ 7,499歩 = 「少しアクティブな生活」
  • 1日あたり7,500 ~ 9,999歩 = 「ややアクティブな生活」
  • 1日あたり12,500歩以上 = 「非常にアクティブな生活」 (Nicenet.ca, n.d.)

一週間の終わりに、散歩グループのメンバーと散歩量を比べてみてください。 歩数が一番高い人は誰ですか?それはなぜですか?その人はより多く歩くために、どのような工夫を日ごろの生活に取り入れているのでしょうか?運動が重要な生活の一部になるように、お互いに積極的に情報共有してみましょう。

散歩の際の注意事項

  • 深夜・早朝に散歩する場合は、光を反射するベスト、靴、帽子などの服装を着用しましょう。
  • 外出前に天気予報を確認し、適切な服装を選びましょう。(Walkandrollpeel.ca, n.d.b)
  • 他の用事と併せて散歩をする際は、買い物を運ぶプッシュカートやユティリティカートなどの使用を検討してみましょう。
  • かかとの低い靴や滑り止め付きの靴など歩行を補助する履物を履きましょう。(Walkandrollpeel.ca, n.d.a)
  • 杖や歩行器を使う場合、自分の身長に調整されていることを確認しましょう。(Walkandrollpeel.ca, n.d.a)
  • 緊急時に備えて、携帯電話、身分証明書、医療情報などを持参しましょう。(Walkandrollpeel.ca, n.d.a; Walkandrollpeel.ca, n.d.b)
  • 水分補給を欠かさず、15分から20分の散歩に対して、最低150mlの水を飲むよう心がけましょう。 (Walkandrollpeel.ca, n.d.a)

フィットネス・トラッカーについての詳細は、こちらから(英語): https://bestforseniors.online/best-fitness-trackers-for-seniors/

カープール(相乗り)

カープール(相乗り)は同じ目的地に複数の人と一緒に同乗することです。交通費を減らしたり(ガス代を割り勘にするなど)、運転を交代したりすることができるので、負担を分散できる、素晴らしい移動手段の1つです。さらに、運転している車の台数を減らし環境汚染も減らすので、地球に優しい移動手段といえるでしょう (Seniordriving.aaa.com, n.d.)。

例えば、友達とお盆祭りへ相乗りで行きます。多くの場合、お寺にある駐車場の数には限りがあります。カープールをすれば、 自分の交通手段を悩む必要もなく、渋滞を減らすなど、移動時の負担を減らすことにつながります。友人と待ち合わせる必要もなければ、移動の間におしゃべりも楽しめるなど、友人と外出するにはとっておきの移動手段といえるでしょう。

カープールは、もう1人相手がいれば始められます。最初は友達や近所の人と試した上で他にも声をかけてみましょう。散歩グループなどを通じて他の方に声をかけるのもいいかもしれません。

ロサンゼルス・メトロ(LA Metro)

鉄道やバスを使用することにより、普段混雑している場所が少し解消されることにつながります。ロサンゼルス・メトロの路線拡大により、ロサンゼルス・カウンティの公共交通は今まで以上に便利になっています。ロサンゼルス・メトロがサービスを提供している地域では1万5千本以上のバス停留所(Metroバス)と93箇所の駅(Metroレール)があり、遠い目的地にも気軽に行けるようになっています。

ロサンゼルス・メトロの利用方法

  1. ロサンゼルス・メトロを利用するには、まずタップカード(TAP Card)をオンラインもしくはメトロの自動券売機で購入します。タップカードとは日本の「Suica」や「PASMO」のようにチャージして使用できるプラスチックのカードで、毎回チケットを購入したり現金で支払ったりするより簡単に運賃を支払うことができます。
    • タップカードは$2で購入できます。
    • 運賃は片道$1.75ですが、62歳以上の方が対象となっている割引運賃シニアタップカードを申請すれば、バスや電車を割引価格で利用することができます。
  2. Tapと書いてあるカードリーダー部分にタップカードを当てください。
    • カードを読み取るtapターゲットはメトロバスや鉄道の入口に設置されています。
    • 乗車料金は自動的にチャージしたタップカードから引き落とされます。
  3. バス(前方ドアから)や鉄道に乗車し、目的地に向かいます。
    • 降車する際、タップカードを再度タップする必要はありません。
    • 別のバスや電車に乗り換える際は、乗車時に再びタップカードを忘れずにリーダーにかざしてください。
    • 注意事項:メトロバスでは現金の支払いは可能ですが、つり銭が出ないため、乗車料金をきっちり用意する必要があります。
写真:Tapgogo.net

特に普段からメトロを使用される方はタップカードの残額を定期的に確認してください。メトロカードを取り扱う店舗やメトロの自動券売機でタップカードをチャージすることができます。

グーグルマップ(Google Maps)LAメトロの経路プランナーを利用すれば、簡単にルート検索ができます。次回、近所のコミュニティセンターで行われるミーティングやイベント、体操教室などへ出かける際には、上記の経路プランナーを使ってみてはいかがでしょうか?

詳しくは、こちらのLAメトロのサイトよりご確認ください(英語):https://www.metro.net/riding/getting-started/

シティ・ライド(CityRide)

シティ・ライド(CityRide)とはロサンゼルス市をはじめとするロサンゼルス・カウンティ内にて、65歳以上の方を対象にした自身が指定する出発地から目的地前まで送迎してくれる移動支援プログラムです (Ladottransit.com, n.d.)。シティ・ライドを使用するには申し込みが必要です。シティ・ライドの申し込みが承認されると自身のアカウントが作成されます。その後、$42が予め入金されているシティ・ライドカードを承認書と共に郵便にて受け取ります。予め入金されているシティ・ライドカードを使用し運賃を支払うことができます。

シティ・ライドカードに予め入金されている$42の金額は無料で提供されています。シティ・ライドカードをチャージしたい場合は、3か月毎もしくは以下の日付の間に郵送でシティ・ライド宛てに小切手か小為替を送付します(住所は以下の通り)。下記の日付の間にシティ・ライドカードをチャージできます:

  • 1月1日~3月31日
  • 4月1日~6月30日
  • 7月1日~9月30日
  • 10月1日~12月31日

シティ・ライドカードのチャージ金額は1回毎に$42と指定されています。シティ・ライドカードの上限額は$168です。この額を超えてシティ・ライドへ送付している剰余金は返却されます。

シティ・ライドカードには一人一人異なるシティ・ライドナンバーが記載されています。シティ・ライド・ダイヤル・ア・ライド(Dial-A-Ride)の配車サービスを利用する際に必要な番号になりますので、カードは安全な場所に保管してください。

シティ・ライドプログラムの申請方法

  1. シティ・ライド申請書をダウンロードし、印刷します。
  2. 全て記入し、最後に署名します。
  3. 必要な書類を添付します。
  4. 申請書類をすべて以下住所へ郵送します:
    CityRide
    P.O. Box 866003
    Los Angeles, CA 90086

シティ・ライド・ダイヤル・ア・ライドプログラムの利用方法

  1. 送迎を予約するには、必ず送迎の前日にシティ・ライドプロバイダーに電話します。健康診断や医療クリニック、病院への送迎であれば、送迎の2日前に予約することも可能です。
    • シティライドの営業時間は平日月曜から金曜の午前8時から午後5時までです。送迎サービスは午前6時半以降開始し、午後4時半までに終了します。
    • 行きと帰りの送迎は同時に予約します。帰りの時間がはっきりと分からない場合は、およその時間を伝えます。
  2. 予約を完了するために準備するべき情報:
    • 出発地と目的地の住所
    • 送迎時間(行きと帰りの両方)
    • 名前とシティ・ライド・カードナンバー(シティ・ライドカードに記載されている)

シティ・ライド・ダイヤル・ア・ライドの運転手は予約時間の約15分前後に到着します。必ずすぐ乗車できるよう、指定した時間の前までに準備を済ませておくことが大切です。運転手は到着後、3分以内に出発します。また、シティ・ライドの運転手たちは大体のユーザー補助に対応しています。

シティ・ライドプログラムについての詳細は、www.ladottransit.com/other/cityride/でご確認ください。

*オレンジカウンティ在住の方は、オレンジカウンティ交通局(OCTA)が提供するシニアモビリティプログラム(SMP)をご確認ください。こちらでは、バスやアクセスサービス(身体障害者向けのサービスの名称)の他に、代替交通手段を高齢者に提供しています。自宅のそばのSMPについて興味がある方は市に直接連絡してみることをお勧めします。自分の住む街が参加しているかについては、こちらからご確認ください。

*ベンチュラカウンティ在住の方は、ベンチュラのダイヤル・ア・ライドサービスをご確認ください。市内で提供しているサービスについては、こちらからご覧ください。

*ビーチシティ在住の方は、高齢者及び障害者を対象にしたご自宅前から目的地前までサービス提供するダイヤル・ア・ライドサービス、ザ・ウェーブ(The WAVE)をご検討ください。詳細はこちらをご覧ください。

*パロスバーデス在住の方は、パロスバーデス交通当局(PVPTA)のウェブサイトの地域の公共交通情報や経路プランナーをご覧ください。PVPTAのウェブサイトはこちらです。

ライドシェアアプリ

自分の今居る場所から行きたい目的地までオンデマンドで車を呼び寄せられるウーバー(Uber)リフト(Lyft)のようなライド(乗車)シェアサービスを使用するには、スマートフォンが必要となります。ライドシェアはタクシーと違い、運転手が個人の車で(そのため車種とモデルもそれぞれ異なる)サービス提供し、急な呼び出しにも対応可能です。アカウントを作成するだけで、希望する時間の数分以内に車を呼ぶことができます。また支払いは現金取引ではなく、目的地到着後に、事前に選んだ電子決済方法で自動的に支払らわれます。

いつでも呼び出せる交通手段があることは高齢者の生活の質を90%向上させることができると言われています(Iadvanceseniorcare.com, 2018)。ライドシェアアプリを使えば、移動手段がない理由で大事な予約をキャンセルしなくても済むようになります。そのため、日々の習慣を変えることなく、自立した生活の継続につながります。

ライドシェアサービスについての詳細は、こちらをご確認ください:

https://edu.gcfglobal.org/en/sharingeconomy/what-is-ridesharing/1/

https://www.familymattershc.com/seniors-and-ride-sharing-services/

ゴーゴー・グランドペアレント(GoGoGrandparent)

ライドシェアサービスが誕生して以来、以前より人の移動がしやすくなりました。ライドシェアに興味はあるけれどもスマートフォンを持っていない方はゴーゴー・グランドペアレントを使用してみてはいかがでしょうか?ゴーゴー・グランドペアレントはライドシェアサービス企業(ウーバーやリフトなど)と協力し、高齢者がいつでも配車を頼むことができるよう支援するサービスです。

ゴーゴー・グランドペアレントを始める方法

ゴーゴー・グランドペアレントのサービスを使用するには、まずオンラインで登録し、ゴーゴー・グランドペアレントのアカウントを作成する必要があります(こちらで作成できます)。登録時、電子決済での支払い方法の指定をします。サービスを使う度、自動的に選択したお支払い方法でサービス利用料金が引き落とされます。

ゴーゴー・グランドペアレントの利用方法

  1. 登録後、ゴーゴー・グランドペアレントを利用するには、 1 (855) 464-6872 あるいは 1 (855) GOGO-USAへ電話をかけます。
  2. 音声の指示に従っていくと、オペレーターにつながります。
  3. オペレーターに配車の依頼内容を伝えます。
  4. 予約の際、車種、モデル、色やナンバープレートについてメモします。
  5. 自身が指定車場所にて車を待ちます。

ゴーゴー・グランドペアレントはウーバーやリフトなどの会社と協力しているため、いずれかのロゴのシールが前後に貼られた車が到着する可能性が高いです。電話の後、行く準備を済ませ、配車が到着するのを注意深く確認してください。なお、ウーバーとリフトはドア・ツー・ドア(自宅の玄関まで迎えに来たり、目的地の入り口までエスコートしたりする)サービスではないため、場合によってはドライブウェイではなく、通りの多い道路側にたって乗車を待つ可能性があります。

ゴーゴー・グランドペアレントについての詳細は、こちらをご確認ください: https://gogograndparent.com/


参考文献

Botkin, C. (2013). 8 Benefits of Using Alternative Transportation | Connect4Climate. [online]Connect4Climate. Available at: https://www.connect4climate.org/article/8-benefits-using-alternative-transportation [Accessed 1 Feb. 2019].

Seniordriving.aaa.com. (n.d.). Carpooling – AAA Senior Driving. [online] Available at: https://seniordriving.aaa.com/maintain-mobility-independence/other-ways-get-around/carpooling/
[Accessed 3 Feb. 2019].

Ladottransit.com. (n.d.). Cityride – LADOT Transit. [online] Available at:
https://www.ladottransit.com/other/cityride/ [Accessed 8 Feb. 2019].

Iadvanceseniorcare.com. (2018). Data highlights the benefit of free ride sharing programs for seniors | I Advance Senior Care. [online] Available at: https://www.iadvanceseniorcare.com/article/data-highlights-benefit-free-ride-sharing-programs-seniors [Accessed 8 Feb. 2019].

Nicenet.ca. (n.d.). OAWH: Older Adults and Walking for Health. [online] Available at: http://www.nicenet.ca/tools-oawh-older-adults-and-walking-for-health [Accessed 1 Feb. 2019].

Walkandrollpeel.ca. (n.d.a). Walking Tips for Seniors. [online] Available at: http://www.walkandrollpeel.ca/walking/seniors.htm [Accessed 3 Feb. 2019].

Walkandrollpeel.ca. (n.d.b). Walking Tips for Seniors. [online] Available at: http://www.walkandrollpeel.ca/walking/safe.html [Accessed 3 Feb. 2019].