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COVID-19パンデミックの中、人とのつながりを維持するためZoomやその他のオンラインプラットフォームが頻繫に利用されるようになり、誕生日や集会、礼拝を含む様々なバーチャルイベントやミーティングに参加するようになりました。運転する時間が無くなり、オンラインの集まりに参加するための時間を多く取ることさえあります。社会的つながりを維持するのも重要ではありますが、最近では利用者が「Zoom疲れ」を経験するようになっていると言われています。この言葉は、Zoom(またはバーチャル)ミーティングに参加した後に感じる疲労感をさしています。
Zoom疲れが起きる理由
Zoom疲れは様々な理由で起きます。まず、対面に比べて、バーチャルな形で行われる会話を理解するには、はるかに多くの労力と集中力を必要とします(Fosslien & West Duffy, 2020)。バーチャルミーティングでは、言語以外のアイコンタクトやボディーランゲージといった、会話を解釈し理解する助けとなる手がかりがほとんどありません。そのため、会話についていくのに脳を通常より働かせる必要があります。複数の人が同時に話し始めたりする場合はなおさらです。これに加えて、私たちの脳は、誰が話しているか、何が話されているかに注意を払い、質問をしたり会話に参加するのにふさわしいタイミングを見計らっているのです。
また、バーチャル形式のミーティングの場合、簡単に気が散ってしまいます (Fosslien & West Duffy, 2020)。家族やペットが近くにいたり歩いたりすることで集中力が削がれます。バーチャルミーティングの最中に電子メールや他の通知が表示され、気が散ることもあります。こうした小さな要素に気を取られた結果、話しの内容がわからなくなり、会話の流れに追いつこうとしなければならなくなります。
さらに、私たちは画面上の自分の姿が気になることがあります(Callahan, 2020)。自分が親しみやすく見え、また相手の話をしっかり聞いていると見られたいと思うため、画面に自分がどう映っているかに不安を感じたりストレスを感じたりすることもあります。
Zoom疲れによる影響 (Robinson, 2020)
Zoom疲れはパンデミック、そしてオンラインやバーチャルミーティングへの移行に伴う副産物といえます。Zoom疲れの長期的影響は現時点ではわかっていませんが、私たちが経験する副作用には様々なものがあります。
スクリーン無呼吸症候群
- 長時間画面を見た後に起こります。
- 画面を見ている時に呼吸を一時的に止めたり、呼吸が浅くなるのが特徴です。
- スクリーン無呼吸症候群はストレスに関連した病気につながることがあります。
コンピュータービジョン症候群(CVS)
- CVSは、長時間コンピューター画面を見ることで発生する目の疲れ、赤み、ものがかすんで見える症状などを指します。
Zoom燃え尽き症候群(バーンアウト)
- Zoom燃え尽き症候群は画面を長時間見すぎたために、ぐったりし集中力が続かなくなる症状を指します。
- Zoom燃え尽き症候群は心身の健康に影響を与えます。
Zoom疲れに対処する方法
これからも安全を優先し、対面ではなくZoomやその他のオンラインプラットフォームでのつながりを維持する生活が続きそうです。Zoom疲れを回避したり対処する方法をいくつかまとめました。
休息を取る (Fosslien & West Duffy, 2020)
- 一日に複数のバーチャルミーティングが入っている場合は、ミーティングの間に必ず休憩を入れて、脳や目を休ませるようにします。
- 必要不可欠ではないミーティングは欠席することを検討してもよいでしょう。バーチャルだからといって招待されたミーティングすべてに出席する必要はありません。対面式のイベントに出席しないことがあるのと同様、バーチャルミーティングへの出席を断っても構いません。
必要なミーティングだけに絞ってスケジュールをたてる(Fosslien & West Duffy, 2020).
- すべてのミーティングをZoomで行うのは簡単ですが、電話や電子メールといった別の形式で連絡が取れないか検討します。すべてのミーティングをバーチャルで行う必要はありません。
- バーチャルミーティングは大人数での議論や取り組みに適しています。簡単な確認や話し合いをこの形式で行う必要はありません。
- ミーティングを入れすぎると管理が大変になり、ミーティングを忘れてしまったりする可能性があります。
気の散る要素を取り除く (Fosslien & West Duffy, 2020)
- できれば家の中で他の人が来ない静かな場所を確保します。
- 会議中、同時に複数のことをしたり他の事柄を確認しようという気にならないよう、必要ではないタブやアプリを閉じるようにします。
- ノートパソコン、コンピューター、タブレットでミーティングに参加する場合は、携帯電話をサイレントモードにするか他の部屋に置き、着信メッセージや他の通知に気を取られないようにします。
20-20-20ルールを実践する (Robinson, 2020)
- このテクニックを用いると、スクリーン無呼吸症候群、コンピュータービジョン症候群、Zoom燃え尽き症候群を緩和することができます。
- 画面を見ている間、20分ごとに20秒間の休息を取り、20フィート(約6メートル)離れたものを見るようにします。
- これは目の筋肉をリラックスさせ、脳を休める効果があります。
依然として直接人と会うことができない状態が続く中、バーチャルでの集まりは楽しく、人とのつながりを維持し、ご友人やご家族と連絡を取り合い、また何かを学んだりできる画期的な手段です。しかし、Zoom疲れには気をつける必要があります。バーチャルミーティングでは、会話や提示される情報に注意を向けるのに通常よりもたくさんの労力が必要となり、疲れ切ってしまうことがあります。Zoomミーティングに出席した後、常に疲労を感じたり、バーチャルミーティングにあまり出席したくないと感じる場合は、Zoom疲れを起こしている可能性があります。今後Zoom疲れやバーチャルミーティング燃え尽き症候群を回避するには、ミーティングの間に休息を取り、出席するバーチャルミーティングの回数を減らすよう検討してみてはいかがでしょうか。
参考:
Fosslien, L. West Duffy, M. (2020). How to Combat Zoom Fatigue. Retrieved from https://hbr.org/2020/04/how-to-combat-zoom-fatigue
Callahan, M. (2020). ‘Zoom Fatigue’ is Real. Here’s Why You’re Feeling it and What You Can Do About It. Retrieved from https://news.northeastern.edu/2020/05/11/zoom-fatigue-is-real-heres-why-youre-feeling-it-and-what-you-can-do-about-it/
Robinson, B.E. (2020). Zoom Burnout. Retrieved from https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-right-mindset/202011/zoom-burnout