Published
アートのちから- 書道を通じて人とのつながりを
芳田訓晴さんは書道家でヒップホップダンサーです。アート活動をしながら現在日米文化会館のFUJI SCHOOLで日本語と書道を教えています。
東京生まれ、東京育ちの芳田さんは小さい頃からアートに囲まれて育ちました。祖父と祖母の兄弟が皆書道家という芸術一家だったため、5歳の頃から書道を学び始めました。ですが、スポーツ好きの芳田さんにとって、じっと座って筆で書く作業は最初あまり楽しくなかったそうです。
「最初は先生が飴やアイスをくれるのが楽しみで。でも小さい頃からあきらめる事が嫌いで、だから続けられたのだと思います。」
基礎を学び終え、行書を始めた中学生の頃にようやく書を書くことが楽しくなり始めます。先生の河北美子さんは、書道の基本だけではなく、書を通じて自身を表現すること、また自由に色々なことにチャレンジする大切さを教えてくださったそうです。
その後、大学生の頃にもうひとつのアート、ヒップホップダンスと出会い、それをきっかけに東京からロサンゼルスに拠点を移します。ダンスを高める為に渡米しましたが、海を渡る前からアメリカで書道を通じて自身を表現したいと考えていたそうです。
渡米後は日系コミュニティでボランティアをはじめます。二世ウィークでボランティアをしていた際、自分と自分のアートを暖かく受け入れて後押ししてくれたコミュニティのために何かしたいという気持ちが強まります。その中で、リトル東京に住んでいる高齢者の中には、スーパーと家を往復するだけで、リトル東京に対してコミュニティとのつながりをあまり感じないと言う方が少なくないことに驚いたそうです。
そこで、出会った人たちがもう一度コミュニティとつながるきっかけ作りができないか、と考えるようになったそうです。
この夏、芳田さんは高齢者向けに、書道のワークショップを開きました。このワークショップではきれいな字の書き方、ではなく、書を通じて自分を表現することを教えたそうです。芳田さんは「気持ちを紙にぶつけるワークショップにしたかった」とかたります。ワークショップの最後には、生徒が一人ひとり、空席のアラタニシアターのステージに立ち、スポットライトに照らされる中、自分と向き合い、自分の心の中を、筆を使って紙に表現した書を完成させました。そのアート作品が敬老の日フェスティバルでは展示されます。(作品を作っている模様のビデオはこのページの一番したをご覧ください)
このプロジェクトを通じ、芳田さんは次のように語っています。
「プロが書いたのではなく、一般の人たちが、気持ちを込めて書いた作品です。それぞれのストーリーが込められていて、とても力強い作品です。」芳田さん自身も、作品作りでは回りの人との出会いや、そこから感じ取るインスピレーションを紙に表現しているそうです。
なぜ高齢者に焦点を当てたのか、と聞くと次のようにかえってきました。
「少しでもリトル東京に関わっている、そんなきっかけを作りたくて。皆さん(高齢者の方々)にアートを作ってもらい、それを町に広げる。同世代の高齢者が作品を見たときに、あ、私もできるのではないか、と思ってもらえればそれをきっかけにアートが人の気持ちを変えて、いずれは環境を変えていく。町を人とつなげるアートをしたい、そしてアートの力を示したいと思いました。」
「年齢を重ねると行動範囲も狭くなってしまうこともあるかもしれないけれども、この展示をきっかけに高齢者の方々がどんどん元気にアクティブになってコミュニティともっとつながっていって欲しい」、と語っています。
当日は、自分自身を筆を通じて表現できる、参加型の書道ワークショップも予定しています。
最後に芳田さんから一言:「書道を知っている人も知らない人も、字が読める人も読めない人も、何か感じ取れるとてもすばらしい作品があると思いますのでぜひお立ち寄りください!」
Keiroと日米文化会館共催の「敬老の日 フェスティバル」では、書道家の芳田訓晴(よしだ・くにはる)先生によるステージ上の書道パフォーマンス、及び参加型の書道展をお楽しみいただけます。また日米文化会館にて、この夏先生から学んだ65歳以上の生徒さんたちの作品の展示会も実施されます。
敬老の日の詳細はこちらから:https://keiro.org/what-we-do/events/no-hi-festival
芳田さんのウェブサイト:https://groovyboogie92.wixsite.com/mysite