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「助けを求めることは恥ずかしいという考え方を乗り越えなければならないと思います。 疲れきった介護者は患者にとってあまり助けにならず、介護者自身の健康を危険にさらす可能性があるからです。」
-エブリン・チカヒサさん
エブリン・チカヒサさんとトレーシー・ドイさんは、2020年10月に93歳で亡くなった故レイ・チカヒサさんの奥さんと娘さんです。二人は、レイさんを介護し、レイさんが転倒で脳を酷く損傷した後に、彼を癒しケアに登録しました。 最近、エブリンさんとトレーシーさんはKeiroのZoom取材に応じ、癒しケアの体験について語っていただきました。そして、困難な状況の中であってもレイさんの生活の質を向上させるために、癒しケアプログラムが、どのように彼らをサポートしたかについて共有いただきました。
不安定な時期の安心
レイさんが倒れてから約6か月後、トレーシーさんとエブリンさんは、癒しケアへの登録を決めました。「私達が[いろいろな事柄について]決断するためには、より多くの情報が必要だと気づきました」とエブリンさんは話しました。 「起こりうる変化を見通すことは簡単ではありません。より多くのサポートがあればあるほど役に立ちます。」
レイさんは転倒の影響でより混乱することが増えていきました。トレーシーさんは、次のように説明します。
「どのような状態が普通なのか、事態がより深刻になっている兆候は何なのか、私たちには分かりませんでした。また、投薬についても色々調整・変更したいと思っていたことを相談しました。」投薬と混乱については特に二人が癒しケアチームからサポートを受け、聞きたい情報の確認をすることができました。さらに、癒しケアチームは、レイさんの投薬の調整だけではなく、介護をする家族への支援について、二人と定期的に話すようになりました。
エブリンさんは、次のように話しています。
「重要なのは、夫が経験していた混乱に対してどのように対応できるかについて、私たちにガイダンスを与えてくれる専門家と話すことができたことです。『あなたは最善を尽くしていますよ』と、自分を安心させてくれる誰かがいるということは素晴らしいことです。」
トレーシーさんは、ほかにも介護の面で色々な支援を受けたと付け加えました。 「単純なことですが、父が楽しめるメニューのアイデアを提供してくれたり、薬が美味しくなるようにアイスクリームと組み合わせてくれたりなど、すべてにおいて助けていただいたと思います」と話しました。
アクセスしやすいことの重要性
慢性疾患がある、または末期の状態の患者にとって、ケアへの容易なアクセスがあるかないかでは雲泥の差があります。パンデミックの中、医療訪問がCOVID-19リスクを高めてしまう可能性から、アクセスのしやすさの重要性はより顕著になります。パンデミック禍の生活に変化した2020年3月ごろにレイさんをサポートしていたトレーシーさんとエブリンさんにとってもアクセスがあることは本当に大切なのだと改めて実感したそうです。エブリンさんは次のように回想しています。
「パンデミックにより、以前は利用可能だったリソースが非常に制限されてしまいました。電話をかけるだけで簡単に癒しケアにアクセスできて、とても助かりました。」
癒しケアチーム全員が家族に連絡を取り、利用可能なサービスについて説明し、たとえどんな些細なことでも必要なときはいつでもチームに連絡できることを強調していたと、エブリンさんは話しました。
彼女はさらに次のように続けました。「パンデミック禍に関係なく、患者があまり動けなくなった時、外出が大きな課題になります。癒しケアチームからは、外出や車の乗り降りなど動くことを手助けするアドバイスをしていただきました。これらのヒントがどれほど私たちに役に立ったか、言葉で表すのは難しいです。」
二人の介護者から他の介護者の皆さんへ伝えたい3つのこと
癒しケアは、緩和ケアプログラムとして、全人的アプローチで患者さんを支援します。その支援には、介護者や患者にとって大切な人たちもサポートされていると感じることも含まれます。このサポートを直接体験したエブリンさんとトレーシーさんが、癒しケアについて他の介護者の皆さんに伝えたい3つのことを共有しました。
- 「あなたの大切な人には、診てもらっている主治医や専門家がいます。そして、さらに加えて、快適さとサポートを提供し、[医療において様々な]点と点とをつなぐのを手助けする癒しケアを、利用することができます。それがとても重要だと思います。」 -エブリンさん
- 「相談が無料なのでケアの質がないかもしれないという認識を持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは真実から程遠いです!私たちは本当に素晴らしいチームに恵まれました。電話でもメールでも、フォローアップの電話でも、すべてが順調に進んでいるか、確認の連絡をしていただきました。癒しケアとプロビデンスとの連携が非常にしっかりしていて、質は最高です。」 -トレーシーさん
- 「必要になる前に癒しケアについて知っておくことが大切だと思います。患者と家族は、癒しケアが提供する多くのサービスの恩恵を受けることができます。助けを求めることは恥ずかしいという考え方を乗り越えなければならないと思います。 疲れきった介護者は患者にとってあまり助けにならず、介護者自身の健康を危険にさらす可能性があるからです。」 -エブリンさん
取材の最後に、トレーシーさんは次のように付け加えました。 「この会話によって、他の家族のみなさんが必要な時に気軽に助けを求めるようになれたらと心から願っています。 また、癒しケアチーム全員に感謝したいと思います。彼らは驚くほど素晴らしい仕事をしてくださり、母と私たちの家族はとても楽になったからです」。
癒しケアチームとの多くのディスカッションを経て、エブリンさんは、彼の最期の一か月をさらに支援するため、レイさんをその後癒しケアからホスピスへ移行する難しくも彼を思いやった決断をしました。癒しケアとプロビデンスの連携によって癒しケアからプロビデンス・トリニティケア・ホスピスへ問題なくスムーズに、決断したその日に移行することができました。癒しケアの担当医、グレン・コマツ医師は、ホスピス移行後もレイさんのケアを見続けました。ホスピスケアとは、緩和医療の延長で、一番最期の時に可能な限りより良い生活の質を提供することを支援します。ホスピスによって最期の一か月をレイさんは安らかに過ごすことができ、エブリンさんとトレーシーさんもサポートされ、そして亡くなった後の精神的支援も続けられています。