Published
Keiroとオレンジ郡日系協会(OCJAA)は2019年6月12月に、アナハイムフリーメソジスト教会にてボランティア活動に関するパネルディスカッションを日本語で実施し、50名以上が参加しました。参加者はボランティア活動のメリットを学んだ後、自身のスキルを使ってボランティアを続ける80代のパネリスト3名の経験を聞きました。
イベントはKeiro理事及びOCJAAの会長を務める藤田喜美子氏の挨拶で始まりました。以前からこのようなイベントを実現したかったことを述べ、「皆さんとボランティアをして一緒にコミュニティを作って行ければと思います。」と語りました。
イベントは、参加者それぞれが前向きな姿勢でボランティアに取り組み、コミュニティに貢献したくなる気持ちが湧いてくることを目指しました。
ボランティアのメリット
はじめにKeiroのプログラム・アソシエイト、ローラ・リー氏がボランティア活動の身体的・社会的・心理的なメリットを話しました。「ボランティアは血圧の低下、認知症リスクの低下、ストレス・リジリエンスの強化などにつながります。」と説明する中、多くの参加者がメモを取っていました。その後、参加者は簡単なアクティブティを通して、自分の趣味や興味をそそるものを考え、どのようなボランティア活動を探し始めればいいのかを考えメモしていました。最後に、ボランティアを探しているコミュニティ団体が紹介されました。 説明の後、3名のパネリストがそれぞれ紹介されました。
80代のパネリスト3名がボランティアについて語る
裏千家談交会オレンジカウンティ協会の茶道教師、小泉宗由氏は若い頃に茶道を勉強していた経験がボランティア活動につながっていった経緯を語りました。「多くの方のご親切をいただいてきました。親切の数々をお与えくださった方々はもういらっしゃいませんが、いただいた親切はこれから私がどなたかにお返ししなければならないと思っています。」この感謝の気持ちがボランティアし続ける理由だと述べました。OCJAAの教室では限られた設備や道具で実施していますが、茶道を通じて、生徒たちが日々の生活の小さなことに喜びを感じてほしいと願いながら教えているそうです。
OCJAAの書道教師、高橋正弘氏は小さい頃から書道を始めていましたが、忙しいキャリアを送り、世界中で20箇所以上で生活していた間は書道からは遠ざかっていたと語ります。 65歳になったとき、アメリカでの仏教の伝道をする部署に異動となり、再び書道を始めようと決めました。「色々な方に知り合いになれたことが(ボランティアの)メリットだと思っている。」と発言しました。 「家にこもっていてはできなかったこと」だと語りました。また、スケジュールを埋めて毎日忙しくすることが健康の秘訣だと述べました。
OCJAAのiPad教師、中澤渓人氏は7年以上iPadを教えています。テクノロジーへの熱い思いはエンジニアとしてのキャリアが影響していると述べています。アップルの製品を1970年代から使用していたそうです。退職した後、より多くの方にコンピューターの知識を共有したいと思うようになったそうです。教え方は、皆さんに楽しんでいただくことと皆さんの理解度に合わせることを重要視しているそうです。「教えると思わない。知識をシェアすること(だと考えています)。」 中澤氏が発言されました。
ボランティアに必要なスキルはありません
質疑応答では参加者の一人がボランティアに対して抵抗があると述べ、他人に教えられる特殊な技術を持っていないと述べました。パネリストに、どのようなイベントあるいは思いがボランティア活動を促したのかを聞きました。
中澤氏はこの質問に対して、自分が高度な知識を持っているわけではないと回答しました。コンピューターの専門家ではないのですが、コンピューターを道具として長年使っていたことで、得られた知識を皆さんに恩返しとして分かち合いたいという気持ちからボランティア活動をスタートしたと説明しました。「特に専門の知識がなくても、皆さんもぜひ自分の経験から得た知識をもとに、ボランティアをしていただくということも可能ではないかと思います。」
この発言を聞き、参加者の一人は「(OCJAAで)ボランティアしているのですが私はまるっきり能力がないのですが。でもこんな私でも役に立つことがあるのです。重い冷蔵庫を運ぶ事さえできればやれることはあるのです。いろんな部門のボランティアがあります。」
ボランティアと健康維持について
ボランティアで長年日本舞踊やフラダンス教室を教えていた参加者は、パネリストにどのように健康を維持し、ボランティアに時間を割っているか、その秘訣にについてたずねました。
パネリスト達は口々に毎日予定があること、そして何かを楽しみにするものを見つけていくことが健康維持の秘訣だと述べました。小泉氏は87歳の現在も、毎日やることがある忙しい生活を送っていると話しました。また、高橋氏はこう補足しました。「今日も勉強しないで適当な喋りをしているけど、でも今日ここに来る、ということが一週間、二週間前の一つの励みになっている。この積み重ねが今日の健康を作り上げていると思います。」
ボランティア活動の大切さを再確認
パネルの最後に、参加者一人がマイクを持って熱く語りました:「iPadを教えてくれました中澤先生に感謝申し上げます。最初さっぱりわからなかったのですが、iPad のおかげで本当に世界がこんなに広がるものなのかと。本当に感謝です。」
また、別の参加者はこのイベントのおかげで、ボランティア活動をし続ける大切さを再確認でき、ある出会いを思い出したと語りました。それは半身不随で寝たきりの60代の女性にあったときのことです。話す、聞く、以外はお世話してもらわないといけなかった彼女は、その体で毎日ボランティアをしていたそうです。それは月曜から金曜まで2時間電話で孤児院の子供たちと話すボランティアでした。彼らにとってはおばあちゃんのような存在であり、このボランティアこそが彼女の生きがいだったそうです。「ボランティアというのは特別な資格を持つこと必要はありません。気持ちがあればどんな方でもできます。」と力強く感想をのべていました。
今年100歳を迎えるOCJAA名誉会長三宅明巳氏が迫力のある閉会の挨拶を述べました。コミュニティの中で助け合いを促進するため、参加者がボランティアをする大切さを強調しました。「なぜ100歳まで生きられたかと言うことで私は一番重要なことはボランティア活動のおかげで現在までこうして皆さんの前に立っております。ぜひボランティア活動を引き続き続けていきたいと思います。」