北岡和義氏の講演会:がんの不思議、がんと共に生きる

2019年6月11日アーバインヤマハミュージックセンターで、長年ロサンゼルスでジャーナリストとして活躍されていた北岡和義さんが、110人以上の参加者を前にステージIVの肝臓がんとの「共生」について講演されました。オレンジ郡日系協会、オレンジカウンティ論理法人会、ジャパニーズフレンドシップ・ネットワーク・イン・オレンジカウンティの3団体が共催し、Keiroが協賛したこのイベントでは、北岡さんは死に対する独自の考えやがんと共生する意味、またジャーナリストの経験などを日本語で熱弁されました。後半には、Keiroが提供している癒しケアプログラムについて、担当医の八浪祐一・エドウィン医師が説明しました。

がんの不思議

北岡さんは、がんは分からないことがまだ多いことを共有し、がんを人に例えるところから講演が始まりました。「人間は顔も性格も好みも違いますよね。がんも同じなんですよ。こうやれば、こうすれば治る、というのは正直言ってないのです。」

がんと診断された北岡さんは、大阪市の近畿大学で治験を始めました。その後、治療の副作用を理由に抗がん剤投与を一時的に休止することを決めます。休薬によるリスクを医師に注意されていましたが、予想に反してガンマーカーは落ちていきました。想定外の良い結果でしたが一方で全員が同じような結果になるわけではなく、治験を始めた10人のうち、残って治療を受けているのは彼一人だそうです。亡くなってしまったり、他の治療法を受けるために辞めたりなど様々な理由で治験者が減っていきました。

北岡さんは、この講演でがん患者に対するステレオタイプや先入観を変えて欲しいと語りました。2017年2月に北岡さんはステージIVのがんで余命3~6カ月と医師に宣告されました。ステージIVと聞けば誰もが死を意識してしまうような診断ですが、彼は今でも元気で生活しています。

死があって、生がある、生があって、死がある

北岡さんは死についてとても独特な考えを述べました。「生きるということはすてきだとおもうけど、死ぬのは素敵だとおもいませんよね?」と参加者に問いかけました。彼曰く、生きていることと死んでいるということは切り離せないものだと語ります。「生きていることが生命ではなくて、死があって、生がある、生があって、死がある。」

北岡さんはスティーブジョブズが語った死についての考えを引用し、「誰も死にたくないって、でも天国に行きたい人はいっぱいいる。だったら天国行きたいから早く死んだほうがいいのでは?でもそのために誰も死のうとはしない。しかし死とは、すべての人の終着点であり、誰も止められることはできない。なぜなら、死は生命の最大の発明だから。」北岡さんにとって、生きとし生けるもののライフサイクルの中で、次代の成長には死が必要不可欠だと言います。

北岡さんの現在の症状は安定していますが、いつ変化するかは不明です。講演の最後には、ジャーナリストとして活躍されたときの話を振り返られました。戦争、そして人間が作ったり行ったりする恐ろしい事柄について触れました。また、人間の争い事をがんとの向き合い方に重ね、「平和は戦わないということです。それはがんも同じ、共生するということ。それが、僕らが平和に生きる唯一の道だと思います。」と熱く語りました。

癒しケアについてもっと知る
八浪先生の講演について読む