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ウイルスは、突然変異によって元のウイルスとは遺伝的に異なるウイルスが生じ、絶えず変化します。変異株には様々な分類がありますが、主に「注目すべき変異株(variants of interest)」、「懸念される変異株(variants of concern)」、そして「甚⼤な被害が想定される変異株(variants of high consequence)」に分けられています。この分類されるレベルによって、その変異株がどの程度警戒すべきものであるかがわかります。

以下はアメリカ疾病対策予防センター(CDC)による変異株の各分類の特性を説明したものです(CDC, 2021a)。

(2021年12月9日更新)

  • 注目すべき変異株 (VOI) の特性:
    • 感染、診断、治療、または免疫逃避(体の免疫反応を回避する)に影響を与えると予測される。
    • 感染者数や特定のアウトブレイククラスターの増加を引き起こすことが確認されている。
    • アメリカまたはその他の国の限られた場所での有病率または拡大がみられる。
  • 懸念される変異株 (VOC) の特性:
    • 上記の「注目すべき変異株」と同じ特性を持ち、かつ
    • 診断、治療、ワクチンに影響を及ぼすという証拠がある。
    • 感染力、または拡散力増加の証拠がある。
    • 重症化を引き起こしている証拠がある。
  • 甚⼤な被害が想定される変異株 (VOHC)の特性:
    • 上記の「懸念される変異株」と同じ特性を持ち、かつ
    • 医療対策への影響を及ぼす。
      • ワクチン効果の著しい低下を示唆する証拠がある。
      • ワクチンのブレイクスルー症例の割合が極端に多いことを示唆する証拠がある。
      • 重篤な症状に対するワクチンの予防効果が著しく低下していることを示唆する証拠がある。
      • 重篤な症状と入院数者の増加が見られる。

オミクロン変異株

2021年11月26日に世界保健機関(WHO)はオミクロン変異株を懸念される変異株と指定しました。オミクロン変異株は恐らく最初に確認されたコロナウイルスよりもはるかに感染力の強いウイルスとされています。しかしながら、デルタ株と比較しての感染力は未だ分かっていません。CDC曰く、オミクロン変異種に感染した人は、ワクチン接種有無や症状の有無に関わらず他の人へ感染させる可能性があります (CDC, 2021c)。

オミクロン変異種の重症化リスクやブレイクスルー感染の情報は、今後よりデータの収集が必要となります。また、現在提供されているワクチンは、オミクロン株に感染しても重症化や入院、死亡リスクを低減させるとされています (CDC, 2021c)。

ワクチン接種が未だウイルスから守る最善の策とされています。また、新しい変異種の発生を防ぐことにもつながります。現在、米国では5歳以上の方であればどなたでもワクチン接種をすることが可能です。CDCでは18歳以上の人は全員ブースター接種することを推奨しています (CDC, 2021c)。また、マスク着用によりすべての変異種から守り、特に感染が多い地域では公共の場の室内ではワクチン接種の有無関係なく着用することが推奨されています。

デルタ変異株

現在、懸念される変異株の1つがデルタ変異株です。デルタ変異株は2020年12月にインドで初めて確認されました。これがアメリカにも渡り、現在はCOVID-19の主要な変異株となっています(Katella, 2021)。最も感染数が多く、症状の重篤化が見られるのはワクチン接種率の低い地域です。また、入院や死亡例の大部分は、ワクチンを受けていない方の間で見られます(Katella, 2021)。

CDCによると、デルタ変異株は通常の風邪やインフルエンザより感染性が高く、また水痘と同じくらいの伝染性があると言われています(Katella, 2021)。デルタ変異株はいままでのCOVID-19ウイルス株に比べ、感染力が高いだけでなく、ワクチン接種していない方が感染するとより重篤な症状を引き起こす可能性があります(CDC, 2021b)。

ワクチンの予防効果は100%ではないため、デルタ変異株はブレイクスルー感染(すでにワクチンを接種した方々の間での感染を引き起こす)の可能性があります。また、ワクチン接種を完了した方がデルタ変異株によるブレイクスルー感染をした場合、他の方にウイルスをうつす可能性があります(CDC, 2021b)。しかし、ワクチン接種を受けた方の感染期間は未接種者に比べ短いことが観察されており、ワクチン接種は依然としてデルタ変異株から身を守るための最善の手段です。

COVID-19パンデミックそのものについて一層の研究が必要であるのと同様に、変異株がどのように伝染し個人に影響を及ぼすかについても更なる研究が必要です。お住まいの市や郡が設けているCOVID-19のガイドラインを常に確認し、最新の情報を得るようにしましょう。今のところ、ワクチンを接種した方も屋内の公共スペースでは引き続きマスクを着用し、周囲の方から物理的距離をおき、清潔な衛生習慣を続行することが求められています。

投稿日:2021年8月20日

参考

CDC. (2021a). SARS-CoV-2 Variant Classifications and Definitions. Retrieved from https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/variants/variant-info.html

CDC. (2021b). Delta Variant: What We Know About the Science. Retrieved from https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/variants/delta-variant.html

CDC. (2021c). Omicron Variant: What You Need to Know. Retrieved from https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/variants/omicron-variant.html

Katella, K. (2021). 5 Things to Know About the Delta Variant. Retrieved from https://www.yalemedicine.org/news/5-things-to-know-delta-variant-covid