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Sakura 中間看護施設(ICF)閉鎖から今日まで

Keiroは、薬剤師インターンとして1974年にKeiroでのキャリアを始めたビバリー・イトウ氏をインタビューしました。以来数十年間、彼女はKeiroの文化と創設者たちのレガシーを守り、尊重しながら、居住者たちに思いやり溢れるケアを長年、献身的に提供してきました。ビバリーはシティ・ビュー・ホスピタルの薬剤ダイレクター、介護施設の薬剤コンサルタント、チーフ・コンプライアンス・アンド・プライバシーオフィサー、更には敬老介護施設および敬老中間看護施設(ICF)の管理者まで、様々な要となるポジションを勤めました。

2016年2月の旧敬老施設の売却後も、ビバリーはサクラ中間看護施設(サクラICF)の管理者として2021年8月の施設閉鎖まで勤め上げました。2021年9月に、施設に住む高齢者への日本文化に配慮したKeiroの継続的な支援の維持と拡充のためにKeiroでの勤務を再開しました。

ビバリーは20年以上にわたり、医療専門家とスタッフからなる献身的なチームのリーダーとしてICF居住者にケアを提供してきました。その献身的な姿勢とコミットメントは、当時のレジデンス達が他の施設で生活する今も変わらず継続されています。ビバリーは元レジデンスのケアや交流を通じてKeiroのレガシーを継続することを大切にしているのです。サクラICF閉鎖から約1年が経とうとしている今、ビバリーに旧施設の売却後の経験、高齢者ケアへの情熱と、どのようにその支援を継続したいと考えているか等、お話を伺いました。

2016年Keiroの施設売却時の経験、そしてサクラICFの管理者として留まった理由について教えてください。

オーナーシップの変更は私達・皆にとって大きなチャレンジでした。保健局の綿密な監視の下、新しい運用システムが適応される中、ケアの質や文化への配慮を保守しなければなりませんでした。幸いなことに、主要なリーダーシップと臨床チームの多くのメンバーを維持することができたため、居住者と家族に以前と変わらぬ親しみやすい家庭のような環境を提供し続けることができました。売却後、他の仕事の機会を断ってとどまった理由は、所有者が変わった後もKeiroのミッションとレガシーを貫きたいと思ったからです。Keiroの核となる理念を損ないたくなかったのです。

サクラICF閉鎖時の体験、お気持ちを聞かせてください。

サクラICF閉鎖計画の発表によって巻き起こった、入居者、スタッフ、ご家族、コミュニティのご懸念や感情的な反応との対応は、私のパーソナルとプロフェッショナルの人生の中で最も困難な道のりでした。2021年の2月から8月までの6か月間、深い悲しみ(グリーフ)に伴って経験すると言われるすべてのステージ(否認、怒り、取引、抑うつ、受容)を体感したのです。私と各リーダー達は、非常に複雑な規制や手続きを伴う逆境に立ち向かう中、大きな不安や落胆、絶望感を何度も押し殺さなければなりませんでした。コロナ禍における様々な難問に重ねて、私たちは今までに経験したことがない長時間の勤務をこなし、私生活を犠牲にして、居住者やご家族のケアオプション探索をサポートしました。自分の力ではどうにもできない状況や決事があまりにも多く怒りと憤りを覚える中、私はサクラICFの顔として非難を浴びる立場になりデプレッションが長く長く続きました。施設を閉鎖し、20年以上務めたICFファミリーを離れるという変化に順応するプロセスは私の中で今もなお続いています。

閉鎖から約1年となりますが、今はどのようなお気持ちですか?

閉鎖については未だに心の痛みを感じますが、もう打ちひしがれるということはなくなりました。多くの入居者やそのご家族、スタッフと連絡を取り続けることが助けになり、「我々は、悲惨な状況下で出来る限りのことをやった」と受け入れられるようになってきています。時間が癒しを与えてくれますが、心は忘れることはありません。チームメンバーから突然連絡をもらったり、誰かに連絡をとった際、皆がどれほどICFファミリーを懐かしんでいるかが話題になったりする時、一緒に積み上げてきた経験を有難く思わせてくれます。皆で一丸となって入居者をコロナから守った経験や、閉鎖にあたって互いに助け合ったことが、私達の絆を深めてくれました…。ですから今は、チームで成し遂げてきたことにフォーカスし、ICFで築き上げた素晴らしい繋がりを大切にしていこうと思います。

Keiroに復帰され、施設でケアを受けている高齢者のサポートを続けていらっしゃいますが、現在はどのような役割を担っていますか?

現在の私の役割は、サクラICF時代の入居者とスタッフとの関係維持を軸として、Keiroが継続している入居型介護施設の支援と日本文化を取り入れたアクティビティ・プログラムの強化、食事内容の充実、施設スタッフのサポートを行うことです。また各種問い合わせの窓口となり、Keiroアンバサダーとし活動しています。

このように熱心に継続されている理由は何ですか?

閉鎖の後休みを取って、コロナへの対応や職場の仲間がバラバラになってしまったストレスから立ち直ろうとしました。私生活が仕事とあまりにも密接につながっていた為、新たな生きる目的や意味を模索していました。Keiroの特殊任務へ声をかけていただいたとき、自分の居場所と生きがいを再び見つけることが出来た気がしました。ぽっかり空いた穴が埋まって自分が元通りに戻ったと感じました。
この仕事の一番の喜びは、プログラムが入居者そして演者に喜びを分かち合う瞬間を共有できることだと思います。日本語で歌ったり、リズムに合わせて手をたたいたり、拍手をしたり、そして懐かしい歌に表情がぱっと明るくなったり、そういった入居者を目にする度に私は感動を覚えます。このように人々の心に触れる有意義な機会を持てることに感謝しています。こうして私のコミュニティの高齢者支援への情熱が再燃されるのです。

scott nagatani performing
演奏するスコット・ナガタニ氏

インタビューの最後に、ビバリーは元ICF入居者が複数在住するAtherton バプティストホームにて最近Keiroが支援した特別パフォーマンスにて、曲を披露されたスコット・ナガタニ氏からのメッセージを共有してくれました。ナガタニ氏は1980年代より旧Keiro施設で長年演奏をし続けてきてくださっています。「これほど喜んでくださる観衆に音楽を披露できることは双方向のコミュニケーションを意味します。記憶障害を患っている方、終末期を迎えている方の魂に響く音楽の奇跡、というものを目の当たりにしてきました。本当に彼らの前で演奏できることは代えがたい機会です。」