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第一部:電話するのに早すぎるタイミングはない

癒しケアはプログラム開始以来200人以上の方々に、文化的背景に配慮した緩和ケアを提供してきました。Keiroとプロビデンス・ヘルス・アンド・サービス(Providence Health & Services)の提携プログラムでは、医師、看護師、そしてソーシャルワーカーのチームが追加のサービスを提供する事によって、患者さんご自身やご家族が複雑な医療制度の中で病と向き合えるようお手伝いします。

プログラム開始から2年半が経過した今、癒しケアチームの3人の方々(八浪祐一・エドウィン医師、ソーシャルワーカーの福山可奈子氏、看護師のジョシュア・ノースカット氏)にインタビューし、これまでの道のりについて伺いました。この5部に渡るシリーズでは、癒しケアプログラムが私たちのコミュニティに、どのように役立つことが可能なのかのかについて深く掘り下げていきます。

本日は貴重なお時間をありがとうございます。癒しケアチームの皆さんのご経験や視点を通してコミュニティの方々が、このプログラムについての理解をより深められればと思います。まず初めに、緩和ケアとはどのようなものですか

ジョシュア・ノースカット氏: 緩和ケアは重い病、または生命を脅かす病気を抱える方に向けたケアで、生活の質を向上し、苦痛や症状を和らげる事を目的としています。癒しケアチームは様々な分野の専門家が集まって協力し、患者さんが必要としている精神面、身体面、社会面でのニーズを支援するプランを組み立てます。チームには、医師、ソーシャルワーカー、看護師、そして必要であれば聖職者(チャプレン)も参加します。

福山可奈子氏:私は、緩和ケアが何かと訊かれると、よく身体であれ心であれ何かしらの痛みを軽減するのに役立つものだと説明しています。これが緩和ケアの基本的かつ包括的な定義だと思っています。それは症状を管理する事かもしれませんし、何度もお手洗いに行かなくてすむように薬を調整する事かもしれませんが、何にせよ病によって患者が直面している痛みや苦しみを軽減する事を目指していると思います。

ありがとうございます。癒しケアはKeiroへ電話するところから登録プロセスが始まります。癒しケアへ電話をするきっかけにおいてどのような傾向があるか教えていただけますか?

ノースカット氏:私が気づいた中では、最近ガン、あるいはパーキンソン病や認知症といった他の病気と診断された方がよくかけていらっしゃいます。特に疼痛管理が必要な方からの電話が多いですね。後は、高齢者の方が転倒し、緊急救命室(ER)に運ばれた時がきっかけになる場合もあります。

転倒しただけでも癒しケアへ電話するに値するものなのでそうか?

全員:はい、もちろんです。

福山氏:電話される方は多くの場合ご家族の方で、高齢の両親の事が心配で、将来に向けてどのように準備をすれば良いのか知りたくてかけていらっしゃいます。Keiroのイベントやクラスで初めて癒しケアについて知るようです。そして、かけてくる方は多くの場合、何らかの形ですでに介護をされています。

それがよくあるきっかけの一つですかね。その他には、大切な方が退院するので、文化に配慮したケアやサポートを探していらっしゃることがきっかけになる方も多く見られます。

八浪医師:多くの場合、入退院が電話するきっかけになるように思います。 あるいは、介護施設に行ったり施設から帰って来るとか。そういう時こそ色々負担が増える時期ですからね。基本的には、引越しが大きなストレスになり、電話するきっかけとなるようです。そしてまた、これで果たして[やっていることが]正しいのかどうかを確認したいと言う思いもあって電話されるように見受けます。

緩和ケアは診断されたその日から役立つと言われています。癒しケアでは、プログラムを利用するにあたって「最適のタイミング」または「遅すぎたタイミング」で電話をされた方はいらっしゃいますか?

八浪医師:「遅すぎた」というケースは誰にもあてはまらない気がします。以前、「あぁ、二年前にこの癒しケアがあったらなぁ。当時は痛みがかなり激しく、辛くて助けが必要な時期だった」などとはっきりおっしゃった患者さんも確かに何人かいらっしゃいます。それでも、登録が遅すぎたケースはありません。

福山氏:同感です。遅すぎた患者さんはいませんね。私たちのチームはどのステージの患者さんも癒しケアを通じてサポートできるので、遅すぎる連絡というものは無いと思います。

ノースカット氏:そうですね、緩和ケアは病気の診断日から役立ちますから。

福山氏:患者さんがホスピスに移る1・2日前に癒しケアに登録したというケースもありました。そういう場合でもホスピスへのスムーズな移行をお手伝いできました。癒しケアを利用していなければホスピスとは何か、またホスピスと言う選択肢が有ることも知らなかったかもしれません。

それでは、癒しケアチームに連絡をとる良いタイミングはいつでしょうか?電話をするのが早すぎるということはありますか?

ノースカット氏:早ければ早いほど良いと思います。可能な限り事前に計画を立てておくと良いと思います。

八浪医師:患者さんに一度か二度お話ししただけで充分なサポートとなったケースもありました。可奈子さん、今まで「あなたには癒しケアはまだ必要ないですよ、大丈夫です。」とお伝えする形でサポートした患者さんはいますか?

福山氏:そんなに多くはありませんが、このチームに参加してからの2年で数名そういったケースがありました。日本語を話せる医者と話がしたいだけというご要望の患者さんもいらっしゃいました。癒しケアは患者さんの主治医に取って代わるものではありませんし、この方は非常に健康でしたのでその段階では癒しケアプログラムへの登録はしませんでした。

理想としては、どなたでも申込可能で様々な形でサポートできると良いのですが、今のところ最終的に医師からの紹介状(リファーラル)が必要で、そのために[健康な方の場合]登録が難しい方もいらっしゃるかもしれません。

ノースカット氏:私は、電話をかける時期については心配しなくて良いと皆さんにお伝えしたいです。癒しケアチームにお電話いただければ、こちらでお話を伺い、状況を確認し、説明する事ができます。いただいたお電話の中には、その当時はまだ早かったけれども、半年後に再度ご連絡いただき登録する事になった方もいます。

八浪医師:早めにご連絡いただくメリットは、たとえその時にはタイミングが早すぎたとしても、将来何かがあっていざ申込が必要となった際の申込がよりスムーズに進む気がします。

また、患者さんが手一杯の場合もあります。緩和ケアを提供する側としては、ご家族のすべき事を増やしてしまうことはなるべく避けたいと考えています。病院に毎週通っている方には、もっと時間ができた時に話しましょうとあえてお伝えする場合もあります。あるいは電話だけで充分なこともあり、その際登録はその時点では見送り、実際に私たちのサービスを受け始めるのはもっと後になります。

第二部に続く

癒しケアチームの話にもあるように、電話をかけるのにタイミングの良し悪しはありません。癒しケアのサービスが、ご自身や大切な方に役立つかもしれないと思う方は、213.873.5791までお電話いただくか、ご自身の状況を理解するためにも緩和ケアについて主治医にお問い合わせください。癒しケアでは、ご自身や大切な方のために文化に配慮したサービスや情報をお届けすることができます。