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南加日系コミュニティで生活する多くの高齢者と同様に、カヨさんは「変化」にとても敏感でした。

フレンドリーでおとなしく、日本語で話す 方が楽なカヨさんは、かつて友達仲間数人と親しく日々を満喫していました。しかし年齢を重ねるにつれ、病気になる親友や他界する親友が増え、カヨさんも次第に外出する機会が減っていきました。友達の輪が小さくなるに従い、カヨさんは徐々に社会から孤立していきました。

「高齢者が一度孤立してしまうと、その状況を変えるのはとても難しいことです。当センターが関わっている高齢者の中には、外部とのつながりの大切さを理解していただけるのに数ヶ月かかることもあります」と、リトル東京サービスセンター (LTSC) のケアマネジャーである中村良子さんは説明します。外部との交流が減り、外出しないことで体力の衰えにもつながりますし、また、その逆の場合もあります。

LTSCのソーシャルワーカーはクライアントのカヨさんに、リトル東京の憩いの場である「ファーイースト・ラウンジ」に行くよう勧めました。LTSCが運営するファーイースト・ラウンジは、リトル東京の中心に位置する、高齢者をはじめさまざまな世代の人たちが集う憩いの場所で、人と交流したり、身体を動かしたり、頭を使ったりするアクティビティを楽しめるところです。プログラムの一部は、Keiro とのパートナーシップにより成り立っています。

ファーイースト・ラウンジに足を運んだカヨさんは、そこのプログラムコーディネーターと打ち解けるようになると、コーディネーターはカヨさんが折り紙に長けていることを知ります。そこでコーディネーターは、カヨさんやコミュニティの人たちが作った折り紙の展示会を企画しました。

折り鶴を折るというシンプルな作業が、カヨさんにとってファーイースト・ラウンジに行く目的となり、以来週に数日、ファーイースト・ラウンジに通うようになりました。LTSCの中村さんはカヨさんのケースを振り返り、「折り紙は、カヨさんが自信を取り戻すきっかけになりました。自分が『コミュニティに貢献している』『社会とつながっている』と感じられたからです」と話しました。

カヨさんが何よりも楽しみにしていたのは、折り紙プロジェクトに参加した二人の大学生インターンとの交流でした。若い世代のエネルギーに刺激を受け、彼らと会話をしながら最近の若い人の考え方を知ることができました。同時に、大学生たちもカヨさんから多くのことを学びました。関節痛により細かいところを折るのが難しいときには、若者たちが喜んで手を差し伸べました。

「Happy Cranes(幸せな鶴)」と題された展示会は、2018年1月に開催されました。几帳面に折られた折り紙作品を囲みながらさまざまな世代のコミュニティの人々が集まり、語り、楽しいひと時を過ごしました。

カヨさんは今でも、ファーイースト・ラウンジを定期的に訪れています。サウスベイからも参加者が来るほど人気の麻雀教室にも参加し、コンピュータクラスにも挑戦しています。

中村さんは、このファーイースト・ラウンジのプログラムがカヨさんの心と身体の健康に大きく貢献したと語ります。「以前は物事に否定的だったカヨさんでしたが、ファーイースト・ラウンジに通うようになってから大きく変わりました。今は、ソーシャルワーカーと話す時もとても前向きで、活き活きしていらっしゃいます。」

個人情報を守るため、クライアントの名前は偽名を使っています。


リトル東京サービスセンター(LTSCKeiroは、ここ数十年間にわたり、日本人および日系人高齢者やその介護者のために身体・精神面での健康をサポートするサービスやプログラムを提供してきました。昨年、LTSCの既存のバイリンガルサービスにKeiroの経験や知識、リソースを取り込み、より質の高いプログラムを提供するパートナーシップを結びました。ファーイースト・ラウンジのプログラムの拡張もその一環です。Keiroとのパートナーシップでは、介護者支援およびクライアント支援基金も含まれています。