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eyes

高齢者が経験する最も一般的な症状の一つが視力の低下です。40才以上のアメリカ人で、法定盲人、または低視力と診断されている方は420万人以上にのぼります(CDC, n.d.)。加齢による一般的な眼科疾患には、白内障、緑内障、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症などがあります。家系や遺伝、民族性は眼科疾患を発症するリスクに影響を及ぼす場合があります。アジア系アメリカ人の場合、糖尿病性網膜症、緑内障、白内障を発症するリスクが高くなります(Apeles & Shin, 2016)。

眼科疾患および障害(National Institute on Aging, n.d.)

白内障

白内障は目のレンズにくもった領域ができる病気で、それによって視野がかすんだりぼやけたりする症状が起きます。白内障は視力に影響を与えない場合もあります。しかしながらくもった領域が拡大し視力が低下することもあり、その場合は視力回復のために白内障手術が必要になります。眼科医は、手術が必要かを判断するため経過観察を行う必要があります。

緑内障

  • 緑内障は、眼球内の過剰な液体圧によって発症します。治療をしなければ、視力の喪失や失明に繋がることがあります。緑内障は医師が処方した点眼薬、レーザー、手術などで治療します。また、毎年散瞳薬を用いた眼底検査を受けることで、緑内障を早期に発見することができます。
  • 正常眼圧力緑内障(NGT)は眼圧が正常であるのに発症する緑内障です。日系人はNGTを発症するリスクが高くなります (Glaucoma Research Foundation, n.d.)。

加齢性黄斑変性症(AMD)

AMDは読書や運転などに使われる中心視力がかすむ眼疾患です。AMDは50才以上の方の視力低下の主な原因です。AMDは殆どの場合、完全な失明に至ることはありませんが、人の顔を見たり、運転したり、近くのものを見るといった能力に影響を及ぼします。

糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症は、糖尿病を患っている方が発症する網膜の障害で、失明に至る可能性のある疾患です。糖尿病性網膜症にかかっても、明確な兆候がでないことが多く、大抵の場合、症状はゆっくりと進行します。糖尿病性網膜症を予防する、または進行を遅らせるために、毎年散瞳薬を用いた眼底検査を受け、血糖値、血圧、コレステロール値をしっかり管理することが重要です。

視力が衰えるリスクを低くする(National Institute on Aging, n.d.)

上記に記載した目の障害や疾患を防ぐためにできることがいくつかあります。

eye exam
  • 眼科医、または検眼医にかかり、定期的に目の検査を受けましょう。
  • 血圧や血糖値を監視するため、定期的にかかりつけ医による検診を受けましょう。
  • 帽子やサングラスを着用し、有害な紫外線から目を保護しましょう。
  • 喫煙を避けましょう。
  • 健康的な食習慣を維持し定期的に運動をとりいれるようにしましょう。
  • 血圧と血糖値を管理しましょう。
  • 20-20-20ルールを実践しましょう。画面を20分見るごとに、20フィート(約6メートル)先のものを20秒見るようにしましょう。こうすることで目の筋肉を休めることができます。

低視力になった場合の対処法 (Turbert & Gudgel, 2020).

視力が低下した場合でも、活用できる様々な方法や道具があります。

book and reading glasses
  • 照明を改善するものをよく見ることができるよう、自然光や照明の利用を工夫しましょう。照明が不十分な箇所にワット数の高い電球を用いたり、照明を追加することを検討します。
  • まぶしい光(グレア)を減らす照明を調整してまぶしい光を減らし、ものが見やすいよう環境を改善します。光沢のある表面や反射する表面に覆いをかけます。また外出時には帽子、サンバイザー、サングラスを着用して目を保護しましょう。
  • 眼鏡の着用眼鏡の処方箋が最新のもので、視力に合わせて調整されているかを確認します。
  • 拡大鏡眼鏡、スタンド付き拡大鏡、手に持つタイプの拡大鏡など種類は様々あり、字を読んだり、細かな作業をするのに便利です。こうした器具の中にはライト付きのものもあります。
  • 電子機器オーディオブックや電子書籍を利用すると、文章が読み上げられるため、本の内容を読むのではなく聞くことが可能になります。
  • 電子書籍、携帯電話、タブレット、コンピューターの場合、文字のサイズを大きくしたり照明や明度を調整する機能が付いています。

視力低下は高齢者によく見られる症状で、日系の方は、特定の目の疾患や障害を発症するリスクが高くなります。定期的に目の検査や一般の検診を受けることで、こうした障害を早期に発見することができます。健康的な食生活、運動、糖尿病の管理など、目の健康のために変えることのできる生活習慣はたくさんあります。また、低視力になった場合には、見やすくするための道具や方法があります。

Sources

Apeles, L. & Shin, H. (2016). Ethnicity and Eye Disease: A Risk Reminder for Asian-, African- and Latino-Americans. Retrieved from https://www.aao.org/eye-health/news/ethnicity-eye-disease-risk-reminder-asian-african-

Centers for Disease Control and Prevention. (n.d.). Common Eye Disorders and Diseases. Retrieved from https://www.cdc.gov/visionhealth/basics/ced/index.html

Glaucoma Research Foundation. (n.d.). Glaucoma In Asian Populations. Retrieved from https://www.glaucoma.org/gleams/glaucoma-in-asian-populations.php#:~:text=Japanese%20populations%2C%20however%2C%20have%20a,factor%20for%20open%20angle%20glaucoma).

National Institute on Aging. (n.d.). Aging and Your Eyes. Retrieved from https://www.nia.nih.gov/health/aging-and-your-eyes

Turbert, D. & Gudgel, D. (2020). Low Vision Assistive Devices. Retrieved from https://www.aao.org/eye-health/diseases/low-vision-assistive-devices