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日系女性と心臓病

加州に住む日系アメリカ人女性は、他の人々に比べて心臓病になる確率が高いことをご存知でしたか?その理由には次のいくつかの事柄が考えられます。

まず、米国は世界で一番心臓病の発症率が多いということ。これに比べて、日本はもっとも心臓病の発症率が低くなっています。そして、米国において、女性のあいだで最も多い死亡要因は心臓病です。米国心臓・肺・血液研究所によると、女性の4人に1人はこれによって死亡しています。さらに、加州ヘルスケア基金によると、加州において日系アメリカ人の死亡の第一原因は心臓病だそうです。

心臓病とは何ですか?

心臓麻痺は静脈の一部がふさがれ血液の流れが著しく減少、または止まってしまうことによって起こります。動脈の壁に脂肪が蓄積され、それが破裂すると血液の塊が発生し、これが血液の流れをふさいでしまいます。これは動脈硬化症と呼ばれ、主に心臓麻痺と併発します。もし血液の流れが数分以上止まった場合、心臓の筋肉は永久的なダメージを受けるか、または死に至ります。心臓麻痺による後遺症は心臓へのダメージの度合いによって大きく左右されます。

心臓病は一生付き合う病気です。一度発病すると、手術などで完治する事はできません。しかし、心臓病を上手に管理し心臓麻痺の予防策を学ぶことで、元気で健康な生活を送れるのです。

どのような検査法がありますか?

  • ECGまたはEKG(心電図):心臓の電気活動をグラフにすることによって、心臓の異常な鼓動、筋肉のダメージ、動脈への血液の流れの異常、さらに心肥大などを発見することができます。
  • 運動負荷試験(トレッドミルテストまたは運動心電図):このテストは運動時の心臓の動きを記録します。
  • 核スキャン(タリウム運動負荷試験):少量の放射性物質を静脈に注射し、それがどのくらい心臓の筋肉に使われたかを記録することによって、心臓の筋肉の状態を検します。
  • 心エコー検査:心臓の大きさ、形、動き そして心臓により送り出される血液の量を超音波によって検査します。
  • 冠動脈造影:(血管造影または動脈造影):細いチューブ、あるいはカテテールを心臓に通し、冠状動脈内の血液の流れの異常や閉塞を検査します。
  • 心室のX線写真:冠動脈造影に近い方法で色素を心臓に注入し、左心室(心臓のメインポンプ室)を検査します。
  • 冠動脈内エコー:血流を測るカテーテルをを用いて動脈内の壁の状態を検査します。

「女性のライフタイム脈調査(Lifetime Women’s Pulse Poll)」(2006)によると、女性の80%が毎年心臓病の検査を受けていますが、心臓病のリスクについて医療スタッフに相談している女性はわずか26%だということが明らかになりました。

心臓麻痺の症状は女性と男性とでどのように異なるのですか?

以下の症状が男性と女性に共通して最も多く報告されています。

  • 胸の不快感:主に胸の左側で胸骨に近部分に不快感を数分以上、あるいは断続的に感じる。不快な重圧、 それは不快な重圧、締め付けられるような感覚、あるいは激しい痛みのように感じられることもあります。
  • 上半身の胸以外の不快感:たとえば片方または両方の腕、背中、首、あご、胃の痛みや不快感。
  • 胸の痛みを伴う呼吸困難、あるいは胸の痛みのない呼吸困難。特に激しい運動後にこのような症状が発生した場合は要注意。
  • 他に、冷や汗、吐き気、またはめまいなども報告されています。(アメリカ心臓協会)

ところが、女性は男性と違った胸の不快感を経験することが研究によって明らかになりました。アメリカ心臓協会(American Heart Association)(2003年)の調査によると、女性の間で最も多く報告される急性な症状として、呼吸困難(57%)、脱力感、(54.8%)、異常な疲労感(42.9%)、冷や汗(39%)、そしてめまい(39%)が挙げられました(複数回答) (1)

さらに、同調査結果から、女性は胸部の痛み(27.7%)よりも背中の痛み(37%)を訴えることが多いと判明しました。これらの痛みや不快感は、重圧感、うずくような痛み、あるいは胸苦しさと表現されました。 (1).

心臓病のリスクは何ですか?

心臓病の要因として二つの事柄が考えられます。一つは、家族に若年性心疾患の症例がある場合や、年齢等、自分ではコントロールできない要因です。女性の場合、55歳以上になると心臓病のリスクが高くなります。

一方、二つ目の要因は健康的なチョイスをすることによって変えることができます。たとえばタバコ、高血圧、高コレステロール、肥満、運動不足、そして糖尿病などです。

どのような予防法がありますか?

心臓をできるだけ健康に保つために、以下の事柄を心がけましょう。

  • タバコを止める。
  • 運動を心がけましょう。運動はコレステロールの低下、血圧のコントロール、体力と持久力の向上、体重の管理、さらに糖尿病のリスクの低下に効果があります。
  • 食事に気を配り、塩分と脂肪分の摂取量を管理しましょう。塩分の摂り過ぎは高血圧の原因を作り、飽和脂肪やトランス脂肪、またはコレステロールの高い食品の摂り過ぎは動脈硬化の原因になります。全米肺・心臓・血液研究機関による「心臓にいい料理レシピ」を参考にしてください。
  • ストレスを減らす。
  • 体重を管理する。
  • お酒は控えめにしましょう。一日に一杯や2杯のお酒はHDLという善玉コレステロールを増やすかもしれませんが、飲みすぎは高血圧、心臓病そして脳溢血の原因になります。
  • コレステロールと血圧の検査をし、糖尿病と診断されている場合はその症状をきちんと管理するために、定期的に医師に診てもらいましょう。総合的なコレステロールの数値は200mg/dL、そのうちHDL(善玉コレステロール)は40mg/dLか、それ以上であることが望ましいです。(アメリカ心臓協会American Heart Association)

どこでもっと多くの情報を手に入れられますか?

American Heart Association (アメリカ心臓協会)
National Center
7272 Greenville Avenue
Dallas, TX 75231
(800) 242-8721
www.americanheart.org

Asian and Pacific Islander American Health Forum (アジア太平洋諸島系アメリカ人ヘルスフォーラム)
Health Brief: Japanese in the United States
www.apiahf.org

National Heart, Lung, and Blood Institute (全米心臓・肺・血液研究機関)
(301) 592-8573
(240) 629-3255
The Heart Truth
The Heat Truth for Women: If You Have Heart Disease

出典:
(1) McSweeney, Jean C. et. al., (2003). Women’s Early Warning Symptoms of Acute Myocardial Infarction. Circulation: Journal of the American Heart Association,November 2003; 108; 2619-2023.